村上ゆかりの日記 (浜田聡参議院議員秘書)

浜田聡参議院議員公設秘書。事務所のお仕事で調査した資料などをご紹介。

【調査資料】公文書について

先日(6月22日)救国シンクタンクセミナーに参加させて頂きました。

kyuukoku.com

 

参考/公文書管理法の概要 - 内閣府

公文書について、確か以前調べたことはあるのですが、、、改めて現在の法令等について調べておこうと思い、浜田聡事務所より参議院調査室へ調査依頼しました。

 

【依頼内容】

①そもそも日本の公文書の定義は、「ぶんしょ」なのか「もんじょ」なのか

→現用的な価値があるとして記録、保管などの管理がされている「公文書」と、歴史

的価値があるものとして管理されている「公文書」とあると思うのですが、そもそもその違いを法令等で定めているか、また現在の運用はどのようになっているのか

→例えば、レコードマネジメントにおいてもその目的に応じて整理の仕方が変わって

くると思いますが、どのように整理されているのでしょうか。

 

②整理する前段階の中間保管のような概念があるか、

→公文書は然るべき整理を受けて保管されるものと思いますが、どのように整理すべ

きか(そもそも保管すべきかどうか等も含め)を判断するまでに一旦保留にしておくような考え方が現在の運用であるのか、実際の公文書保管までの流れを知りたいです。(目的や種類によって異なる場合は異なるもの毎に)

 

③公文書の定義に外れるが、公文書同様に管理、保管すべきものについての現在の法

令等の詳細と関連した議論、資料

→例えばNHK等の公共放送の文書管理の在り方(NHKが定めているものではな

く、総務省などの政府側がどうあるべきと考えているかの資料がほしいです。)

→公文書の定義には入らないが、例えば政府の政策決定に極めて重要な要素となった

論文や調査資料などは、歴史的価値があるものとして保管されるのか、その判断基準等が定められているのか等

 

④上記①~③について、他国で参考となりそうなものがあれば可能な範囲で知りたい

です。

 

本日回答を頂きました。

【回答】

①(1)公文書の区別

公文書管理法において、「公文書等」は「行政文書」、「法人文書」、「特定歴史公文書等」に区別されています(第2条第8項)。


▼「行政文書」

行政機関の職員が職務上作成し、又は取得した文書(図画及び電磁的記録を含む。)であって、当該行政機関の職員が組織的に用いるものとして、当該行政機関が保有しているもの(第2条第4項)
▼「法人文書

独立行政法人等の役員又は職員が職務上作成し、又は取得した文書(図画及び電磁的記録を含む。)であって、当該独立行政法人等の役員又は職員が組織的に用いるものとして、当該独立行政法人等が保有しているもの(第2条第5項)

▼「特定歴史公文書等」

行政機関や独立行政法人等から歴史資料として重要な公文書その他の文書に該当するものとして国立公文書館等に移管されたもの、立法府、司法府から国立公文書館等に移管されたもの、及び法人等(1.を除く)又は個人から国立公文書館等に寄贈・寄託されたものをいいます(第2条第7項)

 

このように、法律の定義上は、行政文書や法人文書については、その該当性について現用的価値と歴史的価値を基準とした区別はありませんが、それらのうち「歴史資料として重要な公文書」(歴史公文書等)に該当するものは、国立公文書館に移管され、特定歴史公文書等として管理されることになります。

歴史公文書等の該当性に関する基準については、行政文書の管理に関するガイドラインの「別表第2 保存期間満了時の措置の設定基準」において示されておりますので、ご参照ください。

 

▼行政文書の管理に関するガイドライン(令和6年2月9日内閣総理大臣決定)P65

https://www8.cao.go.jp/chosei/koubun/hourei/kanri-gl.pdf

 

①(2)整理・運用状況

(行政文書)
行政文書の整理については、公文書管理法第5条第1項に「行政機関の職員が行政文書を作成し、又は取得したときは、当該行政機関の長は、政令で定めるところにより、当該行政文書について分類し、名称を付するとともに、 保存期間及び保存期間の満了する日を設定しなければならない」ことが定められ、作成・取得した行政文書を系統的に分類し、整理することが規定されています。
そして、文書別の保存期間など、行政文書の整理に関する事項の詳細が、各府省の行政文書管理規則に定められており、これに従って各府省は公文書の整理を行うこととなっています。保存期間の基準は、「行政文書の管理に関するガイドライン」に定められています。

▼行政文書の管理に関するガイドライン(令和6年2月9日内閣総理大臣決定)

https://www8.cao.go.jp/chosei/koubun/hourei/kanri-gl.pdf

 

また、行政文書の移管・廃棄に関しては、公文書管理法第5条第5項において、「保存期間が満了したときの措置として、歴史公文書等に該当するものにあっては政令で定めるところにより国立公文書館等への移管の措置を、それ以外のものにあっては廃棄の措置をとるべきことを定めなければならない」ことが定められており、保存期間満了前のできる限り早い段階で、歴史公文書等に該当するものかどうかを判断し、移管するか廃棄するかを定めることとされています。

この仕組みにより、歴史的に重要な公文書が、 文書の内容をよく知る作成者等の判断により、国立公文書館等へ移管されることとされています。

▼対象となる文書(内閣府ウェブサイト)

https://www8.cao.go.jp/chosei/koubun/about/bunsho/bunsho.html

▼行政文書の管理(内閣府ウェブサイト)

https://www8.cao.go.jp/chosei/koubun/about/shikumi/g_bun/g_bun.html

 

(法人文書
人文書についても、公文書管理法法第11条~第13条において、行政文書と同様に
規定されています。
詳細は下記のサイトを御参照ください。

▼法人文書の管理(内閣府ウェブサイト)

https://www8.cao.go.jp/chosei/koubun/about/shikumi/h_bun/h_bun.html

 

(特定歴史公文書等)

公文書管理法第15条では、国立公文書館等の長に対し、特定歴史公文書等の原則永久保存(特定歴史公文書等を廃棄する場合は、公文書管理委員会の調査審議を経た上で、内閣総理大臣の同意が必要。)が義務付けられるとともに、その内容、保存状態、時の経過、利用の状況等に応じ、適切な保存及び利用を確保するために必要な場所において、 適切な記録媒体により、識別を容易にするための措置を講じたうえで保存しなければならないことが規定されています。

▼特定歴史公文書等の管理(内閣府ウェブサイト)

https://www8.cao.go.jp/chosei/koubun/about/shikumi/tokutei/tokutei.html

 

②について

公文書管理法では、行政文書管理の主なプロセスとして、
行政文書の作成→行政文書の整理→行政文書ファイル等の保存→行政文書ファイル
管理簿への記載・公表→保存期間満了後の国立公文書館等への移管又は廃棄が定め
られています。
詳細は以下のサイトを御参照ください。

▼行政文書の管理(内閣府ウェブサイト)(再掲)

https://www8.cao.go.jp/chosei/koubun/about/shikumi/g_bun/g_bun.html

 

なお、行政文書の整理にあたっては、相互に密接な関連を有する文書を一の集合物(行政文書ファイル)にまとめた上で、保存期間の起算日を、行政文書を行政文書ファイルにまとめた日のうち最も早い日(以下「ファイル作成日」という。)の属する年度の翌年度の4月1日とすることが定められていますが(ガイドライン11~12頁)、御指摘の「保留」に係る運用を定めた規定は見当たりませんでした。

▼行政文書の管理に関するガイドライン(令和6年2月9日内閣総理大臣決定)(再掲)

https://www8.cao.go.jp/chosei/koubun/hourei/kanri-gl.pdf

▼公文書管理課長通知1-3 行政文書の整理について

https://www8.cao.go.jp/chosei/koubun/hourei/tsuchi1-3.pdf

 

③について

NHKの文書管理の在り方について、政府の考え方を示すような資料は見当たりませんでしたが、放送法第84条の2第1項及び放送法施行規則第55条の2第2項ヲにおいて、「法人文書(協会の役員又は職員が職務上作成し、又は取得した文書であって、協
会の役員又は職員が組織的に用いるものとして、協会が保有しているものをいう。)
の管理に関する定めその他の法人文書の管理に関する情報」の提供が義務付けられており、これを踏まえ、NHKの定めた「文書管理規程」がインターネット上で提供されています。

NHK「文書管理規程」

https://www.nhk.or.jp/info/pr/bunshou-kanri/bunshou-kanrikitei.pdf

https://www.nhk.or.jp/info/pr/broadcasting-law.html

その他、公文書の定義には入らないものについて、地方自治体で作成される文書は、公文書管理法の適用外となっていますが、各自治体で条例等が制定されており、内閣府のウェブサイトに地方公共団体における公文書管理の取組調査の結果が記載されています。

地方公共団体における公文書管理の取組調査(内閣府ウェブサイト)

https://www8.cao.go.jp/chosei/koubun/local/mieru/mieru.html

また、国立公文書館では、法人等又は個人から寄贈・寄託された文書を、歴史公文書等として受け入れることとしており、下記の要綱で受入の基準が示されています。

独立行政法人国立公文書館寄贈・寄託文書受入要綱(平成23年4月1日館長決定)

https://www.archives.go.jp/information/pdf/kizoubunsho_00.pdf

https://www.archives.go.jp/information/donated_deposited.html

なお、法人等又は個人から国立公文書館に寄贈・寄託された歴史公文書等は、公文書管理法上の「特定歴史公文書等」として「公文書等」に含まれることとなります。

 

④について

以下のサイトを御参照ください。

▼公文書管理体制の日英比較

https://www.archives.go.jp/publication/archives/no069/7959

▼フランスの公文書館制度・組織等の概要

https://www.archives.go.jp/publication/archives/no087/13245

▼公文書等の評価選別~グローバルな視点から~

https://www.archives.go.jp/publication/archives/no080/10758