▼記事一部引用
「長崎県大村市が5月、市内の同性カップルに対し、続き柄の欄に「夫(未届)」と記した住民票を交付したことに関し、同市は8日、住民票事務を所管する総務省から「住民基本台帳法の運用として実務上の問題がある」などと見解を示す文書を受け取った、と発表した。」
この報道について一部誤解がありそうな投稿をSNSで見かけたため、浜田聡事務所より総務省に対して、長崎県大村市へ発出した文書を資料要求させて頂きました。
正しくは、長崎県宛のようでした。
▼上記とほぼ同じですが、ポイント
✓ 内縁の夫婦(事実婚)については「法律上の夫婦ではないが準婚として各種の社会保障の面では法律上の夫婦と同じ取扱いを受けている」ことを前提として「夫(未届)、妻(未届)」という続柄が用いられており、当該続柄を記載した住民票の写しは、実務上、そうした社会保障制度の適用を判断するための公証資料として用いられている
✓今回の場合、「法律上の夫婦ではないが準婚として各種の社会保障の面では法律上の夫婦と同じ取扱いを受けている」という前提がない中で、「夫(未届)」という続柄を記載して住民票の写しを交付したものであり、公証資料である住民票の写しを交付する住民基本台帳法の運用として実務上の問題がある
✓加えて、「夫(未届)」と記載したからといって内縁の夫婦(事実婚)と認めたこと
にはならない、続柄の記載が必ずしも何らかの関係であることを公証するものではないとの見解を市が示しており、これらの考え方は、実務上、続柄を含めた住民の居住関係を公証する住民基本台帳法の目的に沿ったものとはいえない
✓今年の最高裁判例(令和6年3月26日)では、犯罪被害者等給付金支給制度に関し「遺族」の範囲を定めた規定の「婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にあった者」に同性パートナーも含まれ得るとの解釈が示された
✓上記最高裁判例は各種社会保障等に係る他法令の同種の規定の解釈に直接影響を与えるものではないと認識していますが、他法令においてどのように取り扱うのかの検討が行われていることが考えられ、そのような状況において、同性パートナーの続柄を、内縁の夫婦(事実婚)の続柄と同一にすることは、実務を担う各種社会保障の窓口で当該住民票の写しの続柄のみで適用の可否を判断することができなくなり、実務上の支障をきたすおそれがある