生活保護の不正受給に関する情報(不正受給が疑わしいという情報)が事務所に寄せられたことを受け、これまでも様々に相談を受けている生活保護の不正受給について浜田聡事務所より国会図書館及び参議院調査室へ調査依頼しました。
▼生活保護費の不正受給に関する実態調査資料
https://www.soumu.go.jp/main_content/000305409.pdf
厚労省/令和5年度 全国厚生労働関係部局長会議資料 | 厚生労働省|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/content/12002000/000977977.pdf
▼生活保護受給者の支援者について
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12000000-Shakaiengokyoku-Shakai/betten1.pdf
行政の支援としては、生活困窮者自立支援法(平成 25 年法律第 105 号)に基づき、平成 27年 4 月から開始された生活困窮者自立支援制度1があります。当該制度によって、生活全般にわたる困難について相談を受け付ける窓口が全国に設置され、困窮者に対する包括的な支援が行われています。相談の中で必要と判断された場合には、生活保護につなぐといった生活保護制度との連携が図られています。
問題としては、支援者を装って住居を斡旋し、生活保護を受給させた上で、家賃や食費等の名目で高額な費用を徴収するといった、いわゆる貧困ビジネスが発生しています。国は、規制を強化するとともに、居住支援の充実を図ることによって対策を進めています。
https://www.mhlw.go.jp/content/12501000/000974782.pdf
支援団体を取りまとめたような資料が見当たらなかったのですが、ビッグイシュー基金(ホームレス等の支援団体)のサイトに、食料支援・医療相談・生活相談などを行っている23区の民間支援団体一覧がありましたのでURLを御紹介します。
https://bigissue.or.jp/action/guide/tokyo_support/#01
この一覧の中では、「生活相談」「生活支援」といった活動において、生活保護受給に関する支援(受給相談や申請同行など)が行われているようです。
別の視点としては、いわゆる「貧困ビジネス」を行う法人や団体の問題について、最近では以下の記事のような事例が指摘されています。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/290443
https://toyokeizai.net/articles/-/723924?display=b
https://toyokeizai.net/articles/-/665811
▼生活保護受給者の属性及びその推移
「被保護者調査」の結果を基に、平成 24 年度から令和 4 年度までの、扶助の種類ごとの世帯類型別被保護人数の推移を別紙 2 (下記)に示します。
「被保護者調査」とは、生活保護を受給する全ての世帯を対象とした調査であり、受給者数等の基本的な数値については毎月の月次調査が、世帯や世帯員の状況については毎年 7 月の年次調査が実施されています。現時点では、令和 6 年 4 月分概数までの結果が公表されています。
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/hihogosya/m2024/dl/04-01.pdf
また、御参考として、下記は平成 10 年度から令和 4 年 3 月までの世帯類型別の生活保護受給世帯数の推移を示しています。
https://www.mhlw.go.jp/content/12002000/000977977.pdf
↓↓↓若干重複していますが、頂いたものをそのままご紹介します。
①第 177 回国会衆議院会議録第 29 号 平成 23 年 6 月 16 日 pp.7-9
②第 180 回国会参議院決算委員会会議録第 9 号 平成 24 年 9 月 3 日 pp.37-38
https://kokkai.ndl.go.jp/img/118014103X00920120903/37
③第 183 回国会衆議院予算委員会第五分科会議録(厚生労働省所管)第 2 号 平成 25 年 4 月 15 日 pp,27-28.
https://kokkai.ndl.go.jp/#/detailPDF?minId=118305267X00220130415&page=27
④第 185 回国会参議院厚生労働委員会会議録第 4 号 平成 25 年 11 月 12 日 pp.3-5.
https://kokkai.ndl.go.jp/img/118514260X00420131112/3
https://kokkai.ndl.go.jp/img/118905254X01320150330/16
https://kokkai.ndl.go.jp/img/119615261X00620180305/42
https://kokkai.ndl.go.jp/img/119614103X00520180521/13
https://kokkai.ndl.go.jp/img/121004376X00220221102/20
参議院調査室/
生活保護関係 質問主意書(第204国会(令和3年)~第213回国会(令和6年))
※衆議院ホームページ、参議院ホームページ内の主意書及び答弁書PDFが掲載されているURLを記載しています
第204回国会
長妻昭君
○生活保護制度における就労継続支援B型の工賃に対する基礎控除に関する質問主意書
森山浩行君
長妻昭君
○生活保護法における被保護者に対してNHK放送受信料を免除することの妥当性に関する質問主意書
浜田聡君
https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/syuisyo/204/syup/s204033.pdf
https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/syuisyo/204/toup/t204033.pdf
第205回国会
○生活保護基準の級地区分にかかる自治体等との調整等に関する質問主意書
打越さく良君
https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/syuisyo/205/syup/s205006.pdf
https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/syuisyo/205/toup/t205006.pdf
浜田聡君
https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/syuisyo/205/syup/s205009.pdf
https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/syuisyo/205/toup/t205009.pdf
第207回国会
山本太郎君
第208回国会
長妻昭君
浜田聡君
https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/syuisyo/208/syup/s208006.pdf
https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/syuisyo/208/toup/t208006.pdf
第210回国会
○外国人の生活保護受給に係る最高裁判決を踏まえ旧厚生省通達を見直す必要性に関する質問主意書
神谷宗幣君
https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/syuisyo/210/syup/s210023.pdf
https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/syuisyo/210/toup/t210023.pdf
倉林明子君
https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/syuisyo/210/syup/s210047.pdf
https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/syuisyo/210/toup/t210047.pdf
第211回国会
青山大人君
○生活保護申請における扶養照会と民法第八百七十七条第一項、第二項及び第七百五十二条の扶養義務規定に関する質問主意書
吉田はるみ君
浜田聡君
https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/syuisyo/211/syup/s211101.pdf
https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/syuisyo/211/toup/t211101.pdf
第212回国会
石垣のりこ君
https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/syuisyo/212/syup/s212062.pdf
https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/syuisyo/212/toup/t212062.pdf
石垣のりこ君
https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/syuisyo/212/syup/s212020.pdf
https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/syuisyo/212/toup/t212020.pdf
第213回国会
○生活保護制度における医療扶助の適正化に向けた抜本的な見直しに関する質問主意書
浜田聡君
https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/syuisyo/213/syup/s213019.pdf
https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/syuisyo/213/toup/t213019.pdf
▼扶助(8 種類)それぞれの立法趣旨
旧生活保護法では、扶助の種類は生活扶助、医療(医療扶助)、助産(出産扶助)、生業扶助、葬祭扶助の 5 種類とされていました。その後、生活保護法の制定に伴い、教育扶助と住宅扶助が、平成 9 年の介護保険法制定に伴い、介護扶助が追加されました(別紙 3, pp.4-5)。追加された扶助の趣旨については、下記を御参照ください。
①第 56 回帝国議会貴族院救護法案特別委員会議事速記録第 2 号 昭和 4 年 3 月 22 日
p.2
https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/#/detailPDF?minId=005600500X00219290322&page=2
②第 90 回帝国議会貴族院生活保護法案特別委員会議録 第 1 号 昭和 21 年 8 月 20 日
発言 No.8
https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/#/detail?minId=009001906X00119460820&spkNum=8&single
③第 7 回国会衆議院厚生委員会議録第 15 号 昭和 25 年 3 月 22 日 p.9
https://kokkai.ndl.go.jp/img/100704237X01519500322/9
今回の調査の限りでは、(旧)生活保護法における生活扶助、医療扶助、出産扶助、生業扶助について、明確に立法趣旨を述べている資料は見当たりませんでした。なお、これらの扶助は、昭和 4 年に制定された救護法(昭和 4 年法律第 39 号)から創設されたものです。創設の背景としては、救護の種類として現金、現品給与及び医療が求められていたこと、病気や傷害、妊娠等の実情に応じた救護2への転換が図られていたことが挙げられます。
参考/第 143 回国会参議院予算委員会会議録第 4 号 平成 10 年 8 月 24 日 p.19.
https://kokkai.ndl.go.jp/img/114315261X00419980824/19
▼外国人の生活保護受給に関して、「当分の間」がいつまでを想定したものか
「当分の間」は法令上、不確定な期限を表す場合に用いられ、暫定的措置であることを示しています。ただし、その法令の規定が新たな立法措置によって改正又は廃止されるまでの間は、いつまでも効力を有するとされます(田島信威『最新 法令用語の基礎知識 三訂版』ぎょうせい, 2006, pp.55-56)。
外国人に対して「当分の間」生活保護法の準用を認めた昭和 29 年通知(資料 30)について、政府は「「当分の間」とは、具体的に特定の期間を想定しているものではなく、現在においても生活に困窮する外国人が一定程度存在していることから、昭和 29 年通知を見直す状況にないと考えている。」としています。
参考/・生活に困窮する外国人に対する生活保護の措置について(◆昭和29年05月08日社発第382号)
参考/第 210 回参議院会議録第 5 号 令和 4 年 11 月 9 日 pp.9-10
https://kokkai.ndl.go.jp/minutes/api/v1/detailPDF/img/121015254X00520221109
外国人の生活保護受給に係る最高裁判決を踏まえ旧厚生省通達を見直す必要性に関する質問主意書:参議院
いずれも、著書の資料はここでは割愛しています。しっかり読み込んで相談内容へ活かしたいと思います。