村上ゆかりの日記 (浜田聡参議院議員秘書)

浜田聡参議院議員公設秘書。事務所のお仕事で調査した資料などをご紹介。

【調査資料】公益通報者保護法第11条第2項は内部通報のみ対象か、外部通報も該当するのか

suenagayukari.hatenablog.com

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前回と関連した調査資料です。

兵庫県の文書問題の争点の一つとして、「公益通報者保護法第11条第2項は外部通報も対象か?」というものがあります。

 

11月18日に行われた兵庫県議会 百条委員会(文書問題調査特別委員会)の資料に、消費者庁からの回答がありました。

https://web.pref.hyogo.lg.jp/gikai/iinkai/index/tokubetsu/bunsho/shingi/documents/bunshoshiryou061118.pdf

これに対して、弁護士からの反論の意見もあります。

www.youtube.com

 

後述しますが本件について消費者庁へ見解を問い合わせていますが、並行して、国会図書館公益通報者保護法第11条第2項の対象は内部通報のみか、外部通報もあたるのかどうか、調査依頼を送りました。

国会図書館からの回答の方が早く来ましたので、ご紹介します。

 

▼回答:ご参考

山本隆司ほか『解説改正公益通報者保護法 第2版』弘文堂, 2023, p.224. より
「この「必要な体制の整備その他の必要な措置」は、「第三条第一号及び第六条第一号に定める公益通報に」との留保があることから、法第11条1項と同様に、公益通報のうち内部公益通報に対応するための体制整備に限定している。なお、内部公益通報には、取引先事業者の従業員からの通報(法2条1項3号)や匿名通報も含まれることから、これらの内部公益通報に対応する体制の整備も必要である。」 

●中野真「公益通報者保護法改正の概要」『ジュリスト』1552号, 2020.12, p.41.(資料3)より 
「新法11条2項では、1号通報の受け手である事業者に対し、1号通報に対応する体制の整備義務を課している。

 

その他、下記資料を提供頂きました。

【提供資料】 
資料1 消費者庁参事官(公益通報・協働担当)室編『逐条解説・公益通報者保護法 第2版』商事法務, 2023, pp.218-223. 
資料2 中野真『公益通報者保護法に基づく事業者等の義務への実務対応』商事法務, 2022,pp.18-26. 
資料3 中野真「公益通報者保護法改正の概要」『ジュリスト』1552号, 2020.12, pp.37-42. 
資料4 日野勝吾『内部通報・行政通報の実務―2022年義務化対応―公益通報体制整備のノウハウとポイント』ぎょうせい, 2022, pp.180-188. 
資料5 坂井知世「内部通報制度の構築・運用の実務(公益通報者保護法・改正後のいま)」『ビジネス法務』23(9), 2023.9, pp.101-107. 
資料6 戸塚亮太・蜂須明日香「改正公益通報者保護法の概要」『法律のひろば』75(6), 2022.6, pp.4-14. 
資料7 「改めて内部通報について考える―公益通報者保護法改正を契機として」『経営法曹研究会報』108号, 2023.5, pp.42-44.  
※ 内部通報前置義務の可否の議論について、御参考までに提供いたします(発言者はい
ずれも経営法曹研究会会員の弁護士)。 
資料8 山口利昭「改正公益通報者保護法(最終回・第3回)内部通報制度の実効性向上に向けて」『地銀協月報』726号, 2020.12, pp.20-23. 
※ 外部通報がなされた場合の事業者の対応について、御参考までに提供いたします。

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上記頂いた資料は著作権の都合でご紹介を割愛しますが、いずれの資料も公益通報者保護法第11条第2項については、1号通報のみを対象としているとの記載、そもそもの記載が「内部公益通報体制」等、「内部」とはっきり書かれたものでした。

つまり国会図書館からの調査回答では、法第11条第2項は内部通報のみに限定しているという回答となりました。

消費者庁の回答はこの解説と異なるのでしょうか。消費者庁から回答が来次第、この点についても聞いてみようと思います。

 

現在回答待ちの消費者庁への質問を最後にご紹介します。

浜田聡事務所より、11月13日に消費者庁へ下記質問をお送りしており、消費者庁からは来週中を目途に回答頂けると連絡を受けています。

 

【質問内容】
公益通報者保護法について、法解釈及び消費者庁の見解を伺いたいです。
①    消費者庁の指針 第4 内部公益通報対応体制の整備その他の必要な措置(法第 11 条第2項関係)は、法第11条第2項に記載のとおり、1号通報のみを対象としていますか。(2号通報、3号通報へ適用があるものはありますか。)
②    ①について、3号通報が対象となり得る場合、匿名の外部通報があった場合で、真実ないし真実相当性を確認の調査のために、事業者が通報者を探索することは「やむを得ない事情」となりますでしょうか。
ならない場合、真実ないし真実相当性が当該通報内容だけで判断がつかない場合の事業者の対応はどうすれば良いか教えてください。
③    3号通報(外部通報)の場合、真実ないし真実相当性の立証は通報者であると認識していますが(下記を参照しました)、通報者が真実ないし真実相当性を立証できなかった場合、真実ないし真実相当性が無いものとして事業者が他法令等の何らかの根拠をもとに通報者を処分することは問題ないでしょうか。

保護要件に関するQ&A | 消費者庁

④    通報内容が通報対象事実の要件を満たす可能性があるものと、明らかに要件を満たさないものが混在していた場合、事業者は、要件を満たさない内容の調査は不要と判断して差し支えないでしょうか。
また、要件を満たさない内容について違法性などが確認された場合、通報者を処分することは差し支えないでしょうか。
⑤    外部通報の通報内容が通報先から漏洩し、何らかの形で事業者がその内容を入手した場合において、当該事業者は法第11条~13条の義務が課されますか。その他、このような場合に事業者がとるべき措置があれば教えてください。