村上ゆかりの日記 (浜田聡参議院議員秘書)

浜田聡参議院議員公設秘書。事務所のお仕事で調査した資料などをご紹介。

【調査資料】解雇規制とは何か 続き

suenagayukari.hatenablog.com

 

前回の記事の続きです。参議院調査室からの調査回答をご紹介します。

1.労働者の解雇について、雇用主側が受ける規制内容の詳細(関連法令及び逐条

解説)

労働者の解雇にかかる主な法律上の規制として、労働基準法第20条及び労働契約法第16、17条がございます。

また、厚生労働省のHP上において、労働者を解雇する際に雇用主が受ける規制につ

いてまとまった記載がございましたので、こちらもご参照いただけますと幸いです。

 

▼労働契約の終了に関するルール

https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudouseisaku/chushoukigyou/keiyakushuryo_rule.html

 

2.いわゆる解雇(会社都合退職)を行うと申請ができないまたは支給されない助

成金

 

▼厚生労働調査室より

「令和6年度雇用・労働分野の助成金のご案内(簡略版)」(下記URL参照)に掲載されている各助成金について、パンフレット・支給要領等により支給要件を当方で確認した結果を記載しました。(下記表)

助成金 「○」解雇に関する要件有
雇用調整助成金 
産業雇用安定助成金 (産業連携人材確保等支援コース)
産業雇用安定助成金 (スキルアップ支援コース)
早期再就職支援等助成金 (再就職支援コース)
早期再就職支援等助成金 (雇入れ支援コース)
早期再就職支援等助成金中途採用拡大コース)
早期再就職支援等助成金 (UIJターンコース)
特定求職者雇用開発助成金 (特定就職困難者コース)
特定求職者雇用開発助成金発達障害者・難治性疾患患者雇用開発 コース)
特定求職者雇用開発助成金就職氷河期世代安定雇用実現コース)
特定求職者雇用開発助成金生活保護受給者等雇用開発コース)
特定求職者雇用開発助成金 (成長分野等人材確保・育成コース)
トライアル雇用助成金 (一般トライアルコース)
トライアル雇用助成金 (障害者トライアルコース)
トライアル雇用助成金 (障害者短時間トライアルコース)
トライアル雇用助成金 (若年・女性建設労働者トライアルコース)
地域雇用開発助成金 (地域雇用開発コース)
地域雇用開発助成金 (沖縄若年者雇用促進コース)
障害者作業施設設置等助成金
障害者福祉施設設置等助成金
障害者介助等助成金
職場適応援助者助成金
重度障害者等通勤対策助成金
重度障害者多数雇用事業所 施設設置等助成金
障害者雇用相談援助助成金
人材確保等支援助成金 (雇用管理制度助成コース )
人材確保等支援助成金 (中小企業団体助成コース)
人材確保等支援助成金 (人事評価改善等助成コース )
人材確保等支援助成金 (建設キャリアアップシステム等普及促進コース)
人材確保等支援助成金 (若年者及び女性に魅力ある職場づくり事業コース(建設分野))
人材確保等支援助成金 (作業員宿舎等設置助成コース(建設分野))
人材確保等支援助成金外国人労働者就労環境整備助成コース)
人材確保等支援助成金 (テレワークコース)
通年雇用助成金 
65歳超雇用推進助成金 (65歳超継続雇用促進コース)
65歳超雇用推進助成金 (高年齢者評価制度等雇用管理改善コー ス) 
65歳超雇用推進助成金 (高年齢者無期雇用転換コース)
高年齢労働者処遇改善促進助成金 
キャリアアップ助成金 (正社員化コース)
キャリアアップ助成金 (障害者正社員化コース)
キャリアアップ助成金 (賃金規定等改定コース)
キャリアアップ助成金 (賃金規定等共通化コース)
キャリアアップ助成金 (賞与・退職金制度導入コース)
キャリアアップ助成金社会保険適用時処遇改善コース)
両立支援等助成金 (出生時両立支援コース) 
両立支援等助成金 (介護離職防止支援コース) 
両立支援等助成金育児休業等支援コース)
両立支援等助成金 (育休中等業務代替支援コース)
両立支援等助成金 (柔軟な働き方選択制度等支援コース) 
両立支援等助成金 (事業所内保育施設コース)
両立支援等助成金不妊治療両立支援コース)
人材開発支援助成金 (人材育成支援コース) 
人材開発支援助成金 (教育訓練休暇等付与コース)
人材開発支援助成金 (建設労働者認定訓練コース) 
人材開発支援助成金 (建設労働者技能実習コース)
人材開発支援助成金 (人への投資促進コース)
人材開発支援助成金 (事業展開等リスキリング支援コース)
障害者能力開発助成金 
職場適応訓練費
業務改善助成金
働き方改革推進支援助成金(業種別課題対応コース)※
働き方改革推進支援助成金(労働時間短縮・年休促進支援コース)※
働き方改革推進支援助成金(勤務間インターバル導入コース)※
働き方改革推進支援助成金(団体推進コース)
受動喫煙防止対策助成金
団体経由産業保健活動推進助成金
高度安全機械等導入支援補助金
エイジフレンドリー補助金
個人ばく露測定定着促進補助金
一般の中小企業退職金共済制度に係る掛金助成
建設業退職金共済制度に係る掛金助成
清酒製造業退職金共済制度に係る掛金助成
林業退職金共済制度に係る掛金助成

※賃金額の引上げを成果目標に加えた場合に限る

 

(参考)

・令和6年度雇用・労働分野の助成金のご案内(簡略版)

https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000758206.pdf

・事業主の方のための雇用関係助成金

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/index.html

・「労働条件等関係助成金」のご案内

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/zigyonushi/index_00051.html

 

▼経済産業調査室より

(チラシ)

https://www.meti.go.jp/covid-19/jigyo_saikoutiku/pdf/jigyo_saikoutiku.pdf

(公募要領)https://jigyou-saikouchiku.go.jp/pdf/koubo.pdf

→公募要領28頁以降に以下の記載があります。

(17)注意事項

以下に該当する場合には、補助金交付候補者として不採択又は交付取消となります。本事業に補助金交付候補者として採択された場合であっても、交付審査において以下に該当すると判明した場合には、採択取消となりますのでご注意ください。

⑧ 主として従業員の解雇を通じて付加価値額要件を達成させるような事業

 

(チラシ)https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/yosan/r6/shoryokuka.pdf

(公募要領)

https://shoryokuka.smrj.go.jp/assets/pdf/application_guidelines.pdf

→公募要領15頁以降に以下の記載があります。

3-5.補助事業終了後のフォローアップ

(1)効果報告

以下のいずれかに該当すると認められた場合は、補助金の返還又は収益納付が発生する場合があることに留意すること。

・省力化を通じて人員整理・解雇を行っていた場合

 

  • ものづくり・商業・サービス補助金

(チラシ)https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/yosan/r5/r5_mono.pdf

(公募要領)

https://portal.monodukuri-hojo.jp/common/bunsho/ippan/18th/%E5%85%AC%E5%8B%9F%E8%A6%81%E9%A0%98_18%E6%AC%A1%E7%B7%A0%E5%88%87_20240408.pdf

→公募要領7頁に以下の記載があります。

1-2-2補助対象外となる事業

以下に該当する事業は補助対象外とします。該当するとされた場合は不採択、採択決定の取消又は交付決定の取消を行います。

■ 主として従業員の解雇を通じて、要件や目標の達成のために付加価値額等を操作させるような事業

 

  • 中堅・中小大規模成長投資補助金

(チラシ)https://seichotoushi-hojo.jp/assets/pdf/leaf_2ji.pdf

(公募要領)https://seichotoushi-hojo.jp/assets/pdf/outline_2ji.pdf

→公募要領7頁に以下の記載があります。

以下に該当する事業者又は事業を行う事業者は、補助金交付候補者として不採択又は交付決定の取消となります。本事業に補助金交付候補者として採択された場合であっても、以下に該当すると判明した場合には、採択取消となります。

⑥ 主として従業員の解雇を通じて賃上げ要件を達成させるような事業

 

※参考 補助事業ではありませんが、以下の事業では、労働者の解雇によって経済産業大臣の認定が受けることができないとしています。

  • 製造業外国従業員受入事業

(概要)

https://www.meti.go.jp/policy/economy/jinzai/seizogyo/downloadfiles/seizogyojigyogaiyo.pdf

ガイドライン

https://www.meti.go.jp/policy/economy/jinzai/seizogyo/downloadfiles/R5.6_seizougyoguideline.pdf

ガイドライン13頁に、認定要件として、以下の記載があります。

第4 製造特定活動計画の認定の申請

経済産業大臣は、1の認定の申請があった場合において、その製造特定活動計画が次に掲げる要件のいずれにも適合するものであると認めるときは、その認定をするものとする。

(1)特定外国従業員受入企業になろうとする者が次のいずれにも該当するものであること。

⑤特定外国従業員に従事させる業務に従事する相当数の労働者を過去3年間に非自発的に離職させていないこと。

 

3. 会社都合退職を行ったことで受ける企業側の想定リスク

会社都合退職を行ったことで受ける企業側のリスクとしては、上記の助成金の支給を受ける事ができないことのほか、訴訟トラブルに発展するリスクが一般的に考えられます。訴訟等に発展した場合にかかる解決までに係る期間や解決等に関する調査が行われておりましたので、下記のURLからご参照ください。

 

・「裁判所における解雇の金銭解決の実態 令和編」

 https://www.jil.go.jp/researcheye/bn/078_230531.html

 

前回のブログでご紹介した「会社都合退職」をすることで要件から外れてしまう助成金では、上記参議院調査室の調査回答にある経済産業調査室からの回答の補助金は入っていませんでした。調べればまだあるかもしれません。個人的には、これらは解雇の間接的な規制になっているのではないかと考えています。(前回では、そのような調査結果はありませんでしたので、あくまでも個人的な意見ですが、、、)

 

解雇規制とは多くの方に影響があるテーマですので、今回の調査結果が少しでも参考になれば幸いです。

【調査資料】解雇規制とは何か(直接の規制と間接的な規制を調べてみた)

解雇規制について最近話題があがっており、それに伴い様々に解雇規制に関する解説を目にする機会が増えました。

www.hrpro.co.jp

news.yahoo.co.jp

sr.platworks.jp

news.yahoo.co.jp

様々な記事などを読む限り、「解雇規制」の定義が皆同じなのか少し疑問を感じることもあります。

そもそも解雇規制とは何か、参議院調査室及び国会図書館へ解雇規制について浜田聡事務所より調査依頼をしました。

今回は国会図書館の調査資料です。

 

【依頼内容】

会社都合退職(いわゆる解雇)について
1. 労働者の解雇を行う上で企業や団体が受ける規制の内容と保護法益(目的、立法趣旨)
2. いわゆる解雇(会社都合退職)を行うと申請ができなくなる助成金などについて、網羅的に詳細を知りたい
3. 2 について、これらの助成金の要件が実質的に解雇を抑制する効果が出ているのではないかと思うが、この検証や実態調査を行った資料があるか
4. 会社都合退職を行ったことで受ける企業側の想定リスクについて参考となる資料はあるか(特に中小企業にとってどれほどのインパクト、影響があるものなのか、どの程度の脅威となるのか)

※依頼内容の3は、実際にかつての現場で聞いた事があるものを取り上げました。

 

【回答】

1.労働者の解雇を行う上で企業や団体が受ける規制の内容と保護法益(目的、立法趣旨)

解雇を行う上での主な規制として、以下のルールが存在します。 

(1)解雇権濫用法理(労働契約法第 16 条)【資料 1, pp.1006-1015; 資料 2, pp.503-509】
労働契約法第 16 条は、「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」と規定しています。つまり解雇について、次の 2 要件が課されます。
 ① 客観的に合理的な理由
 ② 社会通念上相当であること 
これらを欠く場合には解雇を無効とするルールが、解雇権濫用法理です。

①客観的に合理的な理由には、次の 3 類型があります。

 (i) 労働者の労働能力の欠如
 (ii) 労働者の規律違反行為
 (iii) 経営上の必要性 

 

加えて、②社会通念上相当である必要があります。相当性については、次のような裁判例があります。
 ・ 解雇事由の重大性、解雇回避手段の存否、労働者側の宥恕事由の有無を総合的に考慮する裁判例
 ・ 解雇が過酷に失しないかという点から、解雇に至る経緯、従前の勤務成績、反省の有無、他の事例との比較などを考慮して判断する裁判例


なお、①客観的合理的理由と②社会通念上の相当性は、必ずしも画然と区別できないことがあり、裁判例でも明確に区別されているわけではありません。

*有期雇用契約における解雇制限(労働契約法第 17 条)*【資料 2, pp.521-525】
解雇権濫用法理に基づいた解雇の有効性の判断は、主として長期雇用システム下に勤続する正規労働者の解雇について看守されます1。一方、有期契約の期間途中の解雇については、労働契約法第 17 条第 1 項において、「やむを得ない事由がある場合でなければ」解雇することができない、と規定されています。
無期契約においては、労働契約の締結自体によって当然に解雇権が発生し、労働契約法第 16条を根拠としてその濫用を規制するのに対し、有期契約においては、やむを得ない事由の存在によって初めて解雇権が発生します。
判例では、経営上の理由に基づく解雇について、無期契約労働者に比べて厳しい判断をする傾向があると評価されます。

 

(2)整理解雇の 4 要件(4 要素)【資料 1, pp.1015-1024; 資料 2, pp.510-513】
上記(ⅲ)経営上の必要性による解雇(整理解雇)の場合は、労働者側ではなく使用者側の事情に起因する解雇であることから、一般の解雇と比べてより具体的で厳しい制約を課されます。これが、「整理解雇の 4 要件(4 要素)」と呼ばれる整理解雇法理で、法律上の明文規定ではありません。

【1】人員削減の必要性があること
【2】解雇回避努力(解雇以外の手段による人員削減努力)がなされたこと
【3】被解雇者の人選に合理性があること
【4】解雇手続きに妥当性があること 
(3)解雇の予告(労働基準法第 20 条)【資料 1, pp.994-998】

合理的な理由がある場合でも、解雇を行う場合には少なくとも 30 日前に予告をする必要があります。また、予告を行わない場合には、解雇予告手当(30 日分以上の平均賃金)を支払わなければなりません。予告の日数が 30 日に満たない場合は、不足日数分の平均賃金を解雇予告手当として支払う必要があります。

 

(4)解雇の禁止【資料 1, pp.999, 1002-1003】
特定の場合について、法律で解雇が禁止されています。主な事項を列挙します。

【一定期間中の解雇禁止】
・ 業務上災害のための療養中の期間とその後 30 日間の解雇(労働基準法第 19 条)
・ 産前産後の休業期間とその後 30 日間の解雇(労働基準法第 19 条)

【一定事由による解雇等不利益取扱いの禁止】
・差別禁止事由を理由とする解雇等の禁止
 ➢ 国籍・信条・社会的身分を理由とする差別的取扱い(労働基準法第 3 条)
 ➢ 組合員であること等を理由とする不利益取扱い(労働組合法第 7 条)
 ➢ 性別を理由とする差別的取扱い(男女雇用機会均等法第 6 条)
 ➢ 婚姻・妊娠・出産等を理由とする不利益取扱い(男女雇用機会均等法第 9 条)

・労働関係法規違反の申告等を理由とする解雇等の禁止
 ➢ 労働基準監督官等に申告したことを理由とする不利益取扱い(労働基準法第 104 条等)
 ➢ 公益通報者保護法上の公益通報をしたことを理由とする不利益取扱い(公益通報者保護法第 3 条)

・法律上の権利行使を理由とする解雇等の禁止
 ➢ 育児介護休業法上の権利行使を理由とする不利益取扱い(育児介護休業法第 10 条等)
 ➢ ハラスメントの相談をしたこと等を理由とする不利益取扱い(男女雇用機会均等法第 11 条等)

 

法の目的、保護法益について【資料 2, p.498】
解雇権濫用法理を規定する労働契約法は、「労働者の保護を図りつつ、個別の労働関係の安定に資すること」(第 1 条)を目的とします。
同法による違法な解雇の法的効果は、解雇の「権利を濫用したものとして、無効とする」ものであり、裁判においては、労働契約上の地位確認及び解雇期間中の未払賃金の支払いを請求することが多いとされます。地位確認等請求をせずに、損害賠償請求をすることも可能です。

 

2.いわゆる解雇(会社都合退職)を行うと申請ができなくなる助成金
多くの雇用関係の助成金には、労働者を解雇した場合に助成金受給を一定期間制限するルールがあります。また、僅かですが、雇用関係の助成金以外にも、解雇した場合に受給を制限するものが見つかりました。このようなルールのある助成金について、その概要と支給要件の概要を下表にまとめました。
雇用関係の助成金については、下記 URL から詳細をご確認いただけます。

▼「雇用関係助成金支給要領」

https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/001269567.pdf

 

<表中の語句の定義>
解雇等:労働者の責めに帰すべき理由による解雇等、天災その他やむを得ない理由により事業の継続が不可能となったことによる解雇以外の解雇に、勧奨退職等を加えたもの。雇用保険被保険者資格喪失の確認の際に喪失原因が「3」と判断されるもの。
特定受給資格者:倒産・解雇等の理由により再就職の準備をする時間的余裕なく離職を余儀なくされた者。具体的な離職理由については資料 3 参照。 

▼参考リンク

雇用関係助成金関連 https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/001269567.pdf

雇用関係助成金以外 https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/001238315.pdf

 

3.これらの助成金の要件が実質的に解雇を抑制する効果が出ているのではないかと思うが、この検証や実態調査を行った資料
今回の調査の限り、ご指摘のような効果について検証や調査を行った資料は見当たりませんでした。
なお、前項2の表でお示ししたとおり、事業主都合の解雇等を行ったことによる助成金不支給は、(各助成金の支給要件によって異なりますが)一定期間に限られます。

 

4.会社都合退職を行ったことで受ける企業側の想定リスクについて参考となる資料(特に中小企業にとってどれほどのインパクト、影響があるものなのか、どの程度の脅威となるのか)

資料 4 は、解雇の方法が悪い場合には、社員が自尊心を傷つけられ、逆恨みする可能性や、他の社員の士気が落ちる可能性を指摘しています。また、解雇の有効性について紛争が生じるなど、経営者に不都合な結果が生じる可能性があるとします。

解雇が違法・無効とされた場合にはバックペイ(解雇等の時点から違法・無効が確定するまでの間の賃金)の支払いが必要となりますが、紛争解決には時間を要しバックペイの金額は高額になるため、大きな経済的負担を負うことになります。また、被解雇者を職場復帰させる場合には、職場環境や業務処理等に事実上の悪影響が生じる可能性もあります。さらに、いわゆるブラック企業であるとの非難を受け、求人募集の際や取引先との関係等に悪影響を及ぼすことをあり得る、と指摘されています。(資料 5, p.15)

 

【提供資料】

※URLのない紙資料は著作権の都合でここでは割愛します。

資料1. 水町勇一郎『詳解労働法 第 3 版』東京大学出版会, 2023, pp.992-1033.
資料2. 荒木尚志ほか編『注釈労働基準法・労働契約法 第 2 巻』有斐閣, 2023, pp.496-527.
資料3. 「特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲と判断基準」厚生労働省ウェブサイト 

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11600000-Shokugyouanteikyoku/0000147318.pdf

資料4. 小島彰監修『事業者必携 労務リスクを減らすための 入門図解 労務管理の法律知
識 実践マニュアル』三修社, 2023, pp.97-102.
資料5. 狩倉博之ほか編著『使用者側代理人の解雇・雇止め紛争の実務対応』学陽書房, 2022,pp.11-16.

 

また、調査資料ではありませんが、労働政策に関するレポートを一つご紹介します。

▼Works University 15 解雇/労働争議リクルートワークス研究所

https://www.works-i.com/research/labour/item/2024_wu_jp15.pdf

退職推奨などにも触れており、諸外国との制度比較もされています。

 

規制内容とは直接関係ありませんが、解雇と言えば、、、

以前、解雇の相談を顧客から受ける立場であった頃(法人営業の時代に、たまに相談を受けることがありました。)関連企業の解雇に詳しい担当に繋ぎ、アポイントに同席して話を伺ったことがあります。

解雇において労働者側と円満に解決するには、①金銭的な補償と、②次の就職先を支援する事、そして何より解雇に至った経緯を労働者が納得できるように丁寧に対話していく事だという話があったと記憶しています。当然ではありますが、単に規制によって解決を図るのではなく、このように事業者側と労働者側が適正に話し合い解決する事こそ最も望ましい事であり、それが叶わない時に適正に救済できる制度を検討し、本当に必要な規制とは何かを考え議論を深めることは重要だと思います。

【NHK問題】NHKの営業経費の内訳を聞いてみたが、教えてくれない

suenagayukari.hatenablog.com

上記ブログと関連したテーマです。

浜田聡事務所よりNHK経営企画局へ、NHKの営業経費について質問しました。

 

【質問内容】
①直近3年度の営業経費の内訳について
訪問に要した費用、請求書の郵送費用等、項目ごとに費用総額とその件数を教えてください。
 ∟訪問なら何件訪問していくら、郵送なら何件送付していくら、電話なら何件、、、という感じで、可能なら表にして頂きたいです。
 ∟請求書などの督促行為とその他(未契約の方への案内や、契約済みの方へ送る案内  等)に分けてください。
 ∟世帯と事業者で分けてください。

②①と同じ項目について、今年度から三年度分の見立てを項目ごとに数字で教えてください。

 

【回答】

営業経費のうち、受信料の契約・収納にかかる費用の内訳は以下のとおりです。訪問・郵送・電話等の件数に応じた費用については、契約に関わるため、お答えは差し控えさせていただきます。なお、世帯と事業所に分けた集計は行っていません。
2025年度以降については、各年度の予算・事業計画においてお示ししていくことになります。

 

金額だけ見ると、委託法人の訪問員を撤廃した以後、営業経費は微減したものの、「契約就農促進費」がそれなりに増加しており、場合によっては今後営業経費がさらに増える可能性がありそうです。

全体的に回答が足りないので、追加質問しました。

 

【追加質問内容】

①ご回答頂いた「区分」にそれぞれ何が入っているのかよくわからないので、詳細を教えて頂けますでしょうか。

②未契約者宛に送る特別あて所配達郵便はどの区分に入っていて、いくらかかっていますか。年度ごとに教えてください。(契約収納促進費でしょうか?)

③世帯と事業者を分けていない理由を教えてください。適切な受信料徴収、契約管理のためにも分けて管理すべきと思いますが見解を教えてください。 

 

【回答】
① 各「区分」の詳細は以下のとおりです。

 ○訪問員への手数料等
   ・地域スタッフ等への手数料や給付金

 ○契約収納促進費
   ・未契約者や未収者への文書や電話等に係る費用
   ・各種団体による収納取りまとめに係る手数料 等

 ○契約収納業務運営費
   ・口座振替やクレジット等の請求・収納に係る費用
   ・事務情報処理およびシステム運用に係る費用 等

特別あて所配達郵便に係る費用は、「契約収納促進費」に含まれています。費用については、契約に関わるため、お示しすることができません。

③ 受信料の公平負担は世帯・事業所に関わらず進めていく必要があること、また未契約の方は届け出がない以上、世帯・事業所のいずれかを把握することが困難であることなどから、それぞれに分けた費用の集計は行っていません。

契約収納促進費、及び営業経費全体に今後も注目していきます。

【NHK問題】NHKの委託法人の訪問員による訪問が復活している

https://www.nhk-cs.jp/jushinryo/pdf/jushinryo_shunougyomu.pdf

 

NHKのHPにこのような文書が公開されていました。

これを受けて、浜田聡事務所よりNHK経営企画局へ質問を送りました。

 

【質問内容】

受信料の収納業務の法人委託について

①上記法人に委託した「受信料の収納業務」の内容詳細を教えてください。

②上記法人との委託業務の中に、「銀行を登録させたらいくらか報酬が発生する」等、成果報酬に係るものはありますか。あれば詳細を教えてください。

③以前の委託法人契約との契約内容の違いを教えてください。

④受信料の収納業務について、現在契約している法人数と法人名一覧を教えて下さい。

⑤受信料の収納業務を法人委託する方針はいつどの場で決定された事か、詳細を教えてください。

⑥上記法人に限らず、総務省が公表している下記資料にもあるような、NHKの戸別訪問に対する苦情が出ないように行っている現在のNHKの取り組み内容を全て教えてください。

 

https://www.soumu.go.jp/main_content/000716030.pdf

 

▼下記、総務省資料抜粋

 

本日、NHK経営企画局より下記回答を頂きました。
【回答】

① 受信料が未納となっている方を訪問し、受信料の振込のお願いと口座振替やクレジットカード継続払への支払変更をご案内する業務です。

②③契約に関わるため、詳しいお答えは差し控えますが、従来の巡回型訪問営業を実施していた法人委託との契約とは異なり、成果に応じた報酬体系とはしていません。

④ 法人数、法人名はNHKホームページで公表しています。

⑤ 「新たな営業アプローチ」の一つとして、2024 年度に協会として決定しました。

⑥ 受信料の手続きやお支払いをいただく際は、丁寧なお客様対応に努めるとともに、 訪問活動やよくある質問についてNHKホームページで広くご案内しています。

特に⑤と⑥の回答が粗末だと思うので、追加質問をする予定です。また改めてブログでご紹介していきます。

 

 

【調査資料】トヨタの認証不正問題について そもそも国際基準及び国内基準は適正に見直しがされているのか

suenagayukari.hatenablog.com

上記ブログの続きです。

 

浜田聡事務所より、国土交通省へ下記を質問いたしました。

【質問内容】

https://news.yahoo.co.jp/articles/bccbfd11f1150aa63f5fd79fd600414e1077f86f

①いわゆる、トヨタの認証試験の不正問題に関連して、後方衝突試験について上記記事にあります、下記記載について国交省の見解を伺いたいです。

 

世界中で2トン前後のEVがかなりの勢いで増えているわけです。ということは、どう考えてもガソリン車を含む自動車の型式認定の際には、

1100キロの台車を衝突させた実験ではなく、1800キロの方が現実的と言えます。もしかしたら、1800キロでも軽すぎるかもしれません。

後方衝突試験、つまり追突されても燃料漏れなどの重大な事故にならないような強度を確保する試験の場合、確かにEV時代の前であれば1100キロという数字にも妥当性があったかもしれません。

ですが、今は、1800キロから2000キロというのは必要ではないかと思うのです。普通のサイズのセダンタイプのテスラが、後方から追突してきたら、

簡単に車両の後部が壊れてしまい、燃料漏れなど重大な問題を起こすのであれば、それはやはり問題だからです。 」

「もちろん、日本の場合は軽四輪があるなど、特殊事情もあると思います。ですが、軽四だからテスラに追突されて潰れたり炎上したとしても仕方がないとは絶対に言えないと思います。とにかく、この問題に関しては、国交省も1100キロにこだわることなく、EV時代にふさわしい後方衝突試験の基準をメーカーなどと一緒に考えていって欲しいと思うのです。」

 

②このような衝突試験の基準について、これまで基準値の見直しを行ったことはありますか。もし見直しに際して、国内の車の重さなどを調査されていればその調査資料が欲しいです。

③協定(車両相互承認協定)の内容そのものは見直しがなされてきているのでしょうか。把握している範囲で教えて頂きたいです。

https://unece.org/fileadmin/DAM/trans/main/wp29/wp29regs/2015/R034r3e.pdf

(2015年の見直しが最新でしょうか?)

下記フォーラムで見直しはされているのでしょうか?

https://www.mlit.go.jp/report/press/jidosha10_hh_000307.html

 

本日、国土交通省物流・自動車局 審査・リコール課より回答を頂きました。

【回答】

①について(記事内容の見解)

○ 日本の型式指定制度は、国連の自動車認証制度の枠組みと調和したものであり、試験方法についても、国連基準の規定に沿った取扱いとなっています。

○ この国連基準においては、試験条件が厳密に規定されていることから、認証にあたっては定められた試験条件をしっかり守っていただくことが前提となります。

○ また、一般論として、一つ一つの試験において、多岐にわたる項目を組み合わせて試験条件を設定しており、例えば試験台車の重量など一部の項目の違いを見ても、試験全体として厳しい条件となっているかどうかは分かりません。

○ 今般、基準の定めと異なる条件で試験を行ったことについて、トヨタ自動車から説明が無かったことにも問題があるものと認識しています。 

 

②について(衝突試験基準の見直しはしているか)

○ 我が国の衝突試験基準は、日本も参加する国連自動車基準調和世界フォーラム(WP.29)において国際基準として策定されたものを採用しております。

○ 具体的には、前面衝突試験、側方衝突試験、後面衝突試験等に関する国際基準があり、例えば、

・前面衝突試験については、水素燃料電池自動車の衝突に関する安全要件の強化(2023 年)
・側方衝突試験については、電気自動車の衝突に関する安全要件の強化(2021 年)
・後面衝突試験については、衝突速度の引き上げ(2015 年)

など、事故の実態や技術の進歩等に応じて、随時見直しが行われています。

○ また、後面衝突試験に関する国際基準では、日本が当該基準を採用した 2015 年以降、車両重量の調査を要するような国際基準の見直しに関する議論が行われていないことから、国内の車両の重量に関する調査を行っておりません。

 

③について(国際基準となる車両相互承認協定の見直し状況)

○ 協定に基づく各国際基準につきましては、前述のとおり、国連自動車基準調和世界フォーラム(WP.29)において随時見直しが行われています。

○ 例示いただいた国際基準(Regulation No. 34)については、直近では、2022 年 11 月に開催された WP.29 第 188回会合において、当該国際基準における燃料装置の安全性に関する要件が衝突時の安全性に関する他の国際基準と重複しないよう整理するための改正が行われています。 

 

国内の車両の重量の調査などは必要ではないでしょうか。

皆様もご意見があればお気軽にお寄せください。

【調査資料】安倍元総理が撃たれたのに日本は職員も予算も少ないまま 各国の要人警護の詳細

suenagayukari.hatenablog.com

 

上記ブログの続きです。

各国の要人警護について、浜田聡事務所より下記を国会図書館へ調査依頼しました。

 

【御依頼内容】
アメリカのシークレットサービスの概要(目的、予算、職員数、執行機関設立までの経緯とその歴史も含む)
②①以外で、アメリカの政治家に対する安全保障制度があればその詳細
アメリカ以外で、①②と類似する制度がある国がある場合、①と同様の内容が分かる資料
④日本において①②を検討した事があるか、議論された資料などがあればその詳細

 

【回答】

アメリカのシークレットサービスの概要(目的、予算、職員数、執行機関設立までの経緯とその歴史も含む)
②①以外で、アメリカの政治家に対する安全保障制度があればその詳細
アメリカ以外で、①②と類似する制度がある国がある場合、①と同様の内容が分かる資料

→日本、アメリカ、イギリス及びフランスの要人警護組織について、表にまとめました。表の作成に当たり参考にした資料を併せて御提供いたします。

②について、国務省傘下の外交保安局(Diplomatic Security Service: DSS)は、国務長官や外国要人の警護、大規模イベントでの警備などを担当しています。国務長官の警護部隊には 50 人を超える特別捜査官が配属されており、24 時間体制で警備を実施しています【資料 3-8; 3-9】。国務長官は、退任後もリスク評価に基づき DSS の警護を受けることができます【資料 3-10】。
また、政治家の演説会場などでは、シークレットサービスだけでなく、州警察や郡警察も合同で警備にあたるとされています【資料 3-11; 3-12】。例えば、ウィスコンシン州では、州警察に要人警護部隊(Dignitary Protection Unit: DPU)が設置されており、州知事のほか、同州で公務を行う国内外の要人(大統領、副大統領、大統領候補等)にも警護サービスを提供するとされています【資料 3-13】。

 

▼資料(紙資料は著作権の都合でここでは割愛します。)

〇複数国の要人警護組織について一覧したもの

資料1-1. 「【広島サミット】要人警護、海外は 米は専門職員、3200 人態勢」『産経新聞』2023.4.27.

資料1-2. 「要人警護 海外は厳重」『読売新聞』2023.4.20.

資料1-3. 「要人警護強化 なお隙」『日本経済新聞』2023.4.18.

資料1-4. 「要人警護、底上げ半ば」『日本経済新聞』2023.1.8.

資料1-5. 「要人警護、国主導に転換」『日本経済新聞』2022.8.26

資料1-6. 「安倍氏銃撃1カ月 警護、海外と格差 米韓では退任後も手厚く」『産経新
聞』2022.8.7.

資料1-7. 「訓練・人員 海外に見劣り」『読売新聞』2022.7.23.

資料1-8. 「警護、30 年ぶり大幅見直し」『日本経済新聞』2022.7.23.

 

〇日本

1 組織の概要

資料2-1. 警察庁「令和4年7月8日に奈良市内において実施された安倍晋三元内閣総 理大臣に係る警護についての検証及び警護の見直しに関する報告書」2022.8, 警察庁ウ ェブサイト, pp.1-2.

https://www.npa.go.jp/bureau/security/kennsyouminaosihoukokusyo.pdf

資料2-2. 高橋博自治体首長の警護体制」東京海上ディーアール株式会社ウェブサイ ト(TRC EYE), pp.1-4.

https://www.tokio-dr.jp/risk_info/up_file/200706211.pdf

資料2-3. 「要人警護(きょうのことば)」『日本経済新聞』2024.4.14.

資料2-4. 「許されぬ「警戒の空白」 見直し進む要人警護、迫る衆院選へ残る不安」 『毎日新聞デジタル』2023.7.7.

資料2-5. 「要人警護、問われる「国の関与」 都道府県警主体どう変革」『産経ニュー ス』2022.8.1. ※【資料 1-6~1-8】にも記述あり。

 

2 予算

資料2-6. 第 210 回衆議院内閣委員会議録第 3 号 令和 4 年 10 月 28 日 pp.18-19. ※【資料 1-5】にも記述あり。

 

3 職員数

資料2-7. 「要人警護、人員 3 倍 警察庁、体制拡充へ 安倍元首相銃撃受け」『毎日新 聞デジタル』2022.10.22. ※【資料 1-6~1-8, 2-4】にも記述あり。

4 組織設立の経緯・歴史

資料2-8. 「要人警護 抜本見直し」『読売新聞』2022.8.6.

 

アメリ
1 組織の概要
資料3-1. 柏原竜一「各国のカウンター・インテリジェンス(55)アメリカのシークレット
サービス」『治安フォーラム』335 号, 2022.11, pp.68-76.
資料3-2. 「シークレットサービス(きょうのことば)」『日本経済新聞』2024.7.15.
資料3-3. 「Frequently Asked Questions About Us」United States Secret Service Website

Frequently Asked Questions About Us


2 予算
資料3-4. "FY 2025 Budget in Brief," Homeland Security Website, p.52.

https://www.dhs.gov/sites/default/files/2024-04/2024_0311_fy_2025_budget_in_brief.pdf

※【資料 3-2】にも記述あり。

 

3 職員数
※【資料 1-1, 1-3, 1-5, 1-6, 1-7, 3-2, 3-3】に記述あり。
資料3-5. "The Job of a Special Agent," United States Secret Service Website

The Job of a Special Agent

※特別捜査官の説明

資料3-6. "The job of a Uniformed Division Officer," United States Secret Service Webs
ite

The Job of a Uniformed Division officer

※制服警官の説明

 

4 組織設立の経緯・歴史
資料3-7. 肥田美佐子「大統領が 3 人暗殺されるまでなかった…銃社会アメリカで「要
人警護」がなかなか生まれなかったワケ」『PRESIDENT Online』2022.8.26.
※【資料 3-1】にも記述あり。

 

シークレットサービス以外の制度
資料3-8. "Protecting People & Property," U.S. Department of State Website

Technical Difficulties

資料3-9. "Protecting the Secretary of State," U.S. Department of State Website

Technical Difficulties

資料3-10. 相良祥之「安倍元総理の襲撃、検証結果は世界と共有を:「地下鉄サリン」カルテも散逸させた日本の責務」『Foresight』2022.7.25.

安倍元総理の襲撃、検証結果は世界と共有を:「地下鉄サリン」カルテも散逸させた日本の責務:相良祥之 | 記事 | 新潮社 Foresight(フォーサイト) | 会員制国際情報サイト

資料3-11. 「トランプ前大統領の生死をわけた「初動」、セキュリティの専門家が「銃社会の人ならでは」と称賛」『DIAMOND online』2024.7.15. 
資料3-12. 「トランプ氏銃撃 警備欠陥」『日本経済新聞』2024.7.21.
資料3-13. "Dignitary Protection Unit," State of Wisconsin State Patrol Website

Wisconsin State Patrol Dignitary Protection Unit

 

〇イギリス
1 組織の概要
資料4-1. "What security does the prime minister have?," sky news, 2023.8.3.

What security does the prime minister have? | Politics News | Sky News

資料4-2. “Revealed: The Queen's concern at security shake-up for Royal family; Protect
ion team rotated so often senior Royals don't get to know their bodyguards,” London Evening Standard, 2017.12.11.
2 予算
資料4-3. "Royalty and Specialist Protection Unit," London Assembly Website, 2020.2.14.

Royalty and Specialist Protection Unit | London City Hall

※【資料 4-2】に推定額について記述あり。

 

3 職員数
資料4-4. “Royal protection unit faces elite officer exodus: Met risks losing sixth of exp
erienced officers in specialist faction after changes to pensions,” The Daily Telegraph, 2024.5.7.
4 組織設立の経緯・歴史
イギリスの要人警護組織については、組織設立の経緯・歴史について書かれた資料が見当たりませんでしたので、近年の報道資料を御提供いたします。
資料4-5. “Dozens of elite London police disciplined since 2010, figures reveal; Eighty s
taff responsible for guarding royal family, political leaders and public events have been d
isciplined for misconduct,” The Guardian, 2015.1.28.

資料4-6. “PM's protection officer arrested over alleged bets,” BBC, 2024.6.20.

Rishi Sunak's protection officer arrested over alleged bets

 

〇フランス
1 組織の概要

資料5-1. 「マクロン仏大統領、顔面を平手打ちされる 国内訪問先で」BBC NEWS J
APAN, 2021.6.9.

マクロン仏大統領、顔面を平手打ちされる 国内訪問先で - BBCニュース

資料5-2. "GSPR : qui sont les hommes du Président ?, " gendermerie nationale Website,
2022.9.5.

https://www.gendarmerie.interieur.gouv.fr/gendinfo/dossiers/gign-3.0/gspr-qui-sont-les-hommes-du-president

資料5-3. "Tentative d'assassinat contre Donald Trump : trois questions sur la protection 
des politiques en France, " france info (Radio France), 2024.7.15. 

Tentatives d'assassinat contre Donald Trump : trois questions sur la protection des politiques en France

資料5-4. "Plongée au coeur du Service de protection des personnalités politiques, " Lefi
garo.fr, 2023.6.8.

資料5-5. 島岡まなほか『フランス刑事法入門』法律文化社, 2019, pp.ix-x. ※国家警察
及び憲兵隊の説明

 

2 予算
資料5-6. "Emmanuel Macron giflé : la protection des présidents, un révélateur de la ma
nière d'exercer le pouvoir, " france info (Radio France), 2021.6.9. 

Emmanuel Macron giflé : la protection des présidents, un révélateur de la manière d'exercer le pouvoir

 

3 職員数
資料5-7. "Le service de la protection (SDLP)," police nationale Website

Le service de la protection (SDLP) | police nationale

※GSPR の職員数は【資料 5-2】に記述あり。

 

4 組織設立の経緯・歴史
資料5-8. "L'info de l'histoire : le GSPR protège les présidents depuis 40 ans," france in
fo (Radio France), 2023.11.25.

L'info de l'histoire : le GSPR protège les présidents depuis 40 ans

 

④日本において①②を検討した事があるか、議論された資料などがあればその詳細

→まとまった議論がなされている資料は見当たりませんでしたが、日本の要人警護について、地方で警護警備の主体となる地元警察は要人警護の経験値にばらつきがあるとの
指摘【資料 1-6】や、国家警察や政府機関が要人警護を担うのが世界の主流であり、日本のシステムは珍しいと指摘する識者のコメント【資料 2-5】、シークレットサービスと同様、要人警護部門を全国組織にするべきではないかと指摘している資料がございます【資料 3-1】。

【調査資料】各国の国営放送や公共放送が国益を損なう報道を行ったら罰則等はあるのか

suenagayukari.hatenablog.com

上記ブログに関連した調査資料です。

浜田聡事務所より国会図書館へ下記を調査依頼しました。

 

【依頼内容】

各国の国営放送や公共放送が国益を損なう報道を行った場合に罰則や何らかの措置があるかどうかについて
①各国の国営放送や公共放送が国益を損なう報道を行った場合に罰則や何らかの措置があるかどうかについての詳細
②各放送メディアにいわゆるスパイや他国の諜報員等が入り込まないように対策されている国があれば、その制度の詳細 

 

【回答】

①各国の国営放送や公共放送が国益を損なう報道を行った場合に罰則や何らかの措置
があるかどうかについての詳細


オーストラリアの 1992 年放送法では、国際放送免許について、外務大臣国益(national interest)に反すると判断した場合に、正式な警告、免許の停止・取消を行わせることができることが規定されています(第 121FL 条)(資料 1)。
英国の公共放送 BBC については、イラク戦争をめぐる報道に関連して、独立委員会が調査を行った例(Hutton Inquiry)があります(資料 2)が、法令上に根拠を有するものではないようです。
中国では、「国家の安全・名誉・利益を害するもの」を内容とする放送は禁じられています。放送は、共産党と政府主導の重要事業で、共産党や政府の方針等を国民に伝え、指導する役目が付与されており、番組には放送前に審査があるとされます(資料 3)。
なお、「国益を損なう報道」に言及されているわけではありませんが、一般論として、
各国の公共放送においては、内部監督機関、独立規制委員会等の規制監督機関が番組基
準等の遵守を監督しており、違反した場合には調査が行われ、罰則が科される場合もあ
ります。

 

▼参考

・William Twining, “The Hutton Inquiry: Some Wider Legal Aspects.” W.G. Runciman eds.,Hutton and Butler: lifting the lid on the workings of power, New York : Published for the British Academy by Oxford University Press, 2004, p.45.
・各国の制度概要について以下をご参照ください。

「世界の公共放送―制度と財源報告 2018」『NHK 放送文化研究所年報』62 号,2018,pp.173-303.

世界の公共放送 -制度と財源報告2018|NHK放送文化研究所

※イギリスの公共放送と規制機関について

新特許状下のBBC統治システム(資料抜粋)

BBC の Ofcom による対応については、以下に詳細が説明されています(罰金について p.12)。

Ofcom, “New procedures for handling content standards complaints, investigations and sanctions for BBC programmes,” 2017.3.29.

https://www.ofcom.org.uk/siteassets/resources/documents/consultations/uncategorised/93904-ofcom-and-the-bbc/procedures-bbc.pdf?v=335899

 

※フランス公共放送の外部規制機関との関係

※ドイツの公共放送の規制と監督

※イタリア公共放送と独立規制機関AGCOMとの関係

※スペイン公共放送の規制と監督

※韓国の公共放送の規制と監督

※台湾の公共放送の規制と監督

 

②各放送メディアにいわゆるスパイや他国の諜報員等が入り込まないように対策され
ている国があれば、その制度の詳細


現行の制度上で、放送メディアに他国の諜報員等が入り込まないように対策されている国は見当たりませんでした。
BBC では、1990 年代まで、情報機関(MI5)による就職希望者の審査が行われていたという指摘があります(資料 4)。
また、放送に対する外国資本の影響力を排除するため、各国で外資規制が行われており、その中には、外国人の役員等への選任を制限するものもあります(資料 5)。
外国によるプロパガンダの防止の観点からは、ロシアの国営テレビ RT 等の EU 域内での提供を禁止した例があります(資料 6)。 

 

▼参考

マスメディアと防諜・安全保障について扱った文献として以下のものがあります。

福田充「テロリズムとメディア報道」『海外調査情報』11 号, 2015, pp.9-15.

https://nihon-u-gs.jp/journalism/_cms/wp-content/uploads/2015/07/a85bb4de62ff136473486b31a0a69e04.pdf

寺倉憲一「緊急事態とマスメディア」『主要国における緊急事態への対処―総合調査報告書―』国立国会図書館調査及び立法考査局, 2003, pp.184-204

https://chosa.ndl.go.jp/download/20030709/0000038957041.pdf

大塚一美「米国における防諜法と取材報道の自由」『マス・コミュニケーション研究』86 号, 2015, pp.83-102.

https://www.jstage.jst.go.jp/article/mscom/86/0/86_KJ00009702255/_pdf/-char/ja

 

▼資料

資料1. Broadcasting Services Act 1992, (Austl.)

Federal Register of Legislation - Broadcasting Services Act 1992

資料2. 小林恭子『なぜ BBC だけが伝えられるのか―民意、戦争、王室からジャニー
ズまで―』光文社, 2024, pp.184-193.

※紙資料の為ここでは割愛

資料3. 「中華人民共和国(People’s Republic of China)」総務省ウェブサイト

中華人民共和国(People’s Republic of China)

資料4. “The vetting files: How the BBC kept out ‘subversives’,” 22. April 2018. BBCwebsite

The vetting files: How the BBC kept out ‘subversives’

資料5. 落合翔「放送事業者に対する外資規制―規制をめぐる国内外の諸相―」『調査と情報―ISSUE BRIEF―』No.1174, 2022.2.25.

放送事業者に対する外資規制 : 規制をめぐる国内外の諸相 - 国立国会図書館デジタルコレクション

資料6. 「EU,ロシア国営の RT と Sputnik を禁止」NHK 放送文化研究所ウェブサイト

EU,ロシア国営のRTとSputnikを禁止|NHK放送文化研究所