前回のブログの続きです。
▼総務省 改正公職選挙法(インターネット選挙運動解禁)ガイドライン
https://www.soumu.go.jp/main_content/000222706.pdf
▼有料インターネット広告について
↓政党や確認団体のみ、有料広告が出せます。
では、有料広告にリンクを貼り、そのリンク先に候補者名が入るのは良いのでしょうか。総務省に一般論として見解を伺ったところ、「広告そのものに記載されていなければ、クリック先に候補者名が表示されても問題はない」との回答でした。
おそらくこの見解は、紙の広告をそのままインターネットに準用して定められたのではないかと感じました。例えば、インターネット上によくある「バナー広告」等は、クリックされる前提で出される広告であり、クリック先に表示されるページと一体になって制作されるケースがよくあります。しかし現行法上だと、クリック先には何が書かれていても問題ないそうです。
余談ですが、公職選挙法に関する解説資料を取り寄せて読んで気になったのですが、インターネット広告の場合、有料広告そのものが表示された際に音声が流れる場合がありますが、この音声は規制の対象外となるそうです。つまり、広告そのものに候補者名等が入っていなければ、広告が表示された際に候補者名や選挙運動と見做される音声が入っていても、規制の対象外となり問題ないとの事。
政党や確認団体であれば、インターネット有料広告を出すことは何ら問題なく、広告に表示される内容は規制を受けるものの、クリック先に候補者名などが入っている事も問題ない。また広告そのものについている音声は何を言っても全く問題ない。
正直な感想として、、すごい抜け穴だらけの規制です。これなら「規制なし」で良くないですか?
念のため総務省にも確認を取りましたが、電子書籍、及び電子書籍の概要欄や、本の書籍の概要(インターネット上で販売されているもの)であっても、選挙運動と思われるものは文書図画として規制の対象となり得るという事でした。
インターネット上でも、選挙運動を行った場合は選挙運動員となります。「運動員買収」に当たるかどうかについては、上記ご紹介した総務省資料にもQAがありました。
↓業者が、特定の候補者に対する誹謗中傷の内容を否定するのみならず、政策宣伝等にわたる内容の反論を行っている場合、当該業者は選挙運動の主体であると解されることから、当該業者への報酬の支払は買収となるおそれが高いとの事。
↓短期間だけ雇用した場合も要注意です。
↓連座制にも注意が必要です。
↓有料広告はクリック先に何が記載されていても良いとの事でしたが、文書図画はそうではありません。
このあたりの整理も正直意味が分かりません、、。
▼候補者名で書籍を販売することについて
既にXで総務省見解を公開していますので、ご紹介します。
総務省からお電話で回答がありました。
— 村上ゆかり (@yukarimurakami5) 2024年6月26日
あくまでも個別事案の判断はできないが一般論として
・書籍の陳列やPOPの展示そのものは問題ない
・選挙運動と見做されるかは、当該書籍等の販売時期、数量、場所、方法等で総合的に判断される。…
≪抜粋≫
あくまでも個別事案の判断はできないが一般論として、
・書籍の陳列やPOPの展示そのものは問題ない(経済活動なので)
・選挙運動と見做されるかは、当該書籍等の販売時期、数量、場所、方法等で総合的に判断される。
・「●●候補」という記載はあくまでも判断の一つとなる。具体的な文字があった方が選挙運動と見做される可能性が上がるが、あくまでも要素の一つ)
・公職選挙法147条により、撤去命令の対象にもなり得る
途中でも書きましたが、細かい規制があるという印象のわりに、抜け穴が多すぎませんか?というのが率直な感想です。
今回、公職選挙法の逐条解説等の資料もかなり読み込みました。著作権の都合で書籍等の記載は割愛しましたが、それを除いても今回の東京都知事選は公職選挙法について様々に調べる良い機会となりました。本当に勉強になりました。