浜田聡議員の上記ブログでも取り上げている参院総務委員会の質疑のうち、
「ヤフーニュースやLINEニュースなどニュースポータルサイトによるニュースの寡占化について」
で取り上げている、公正取引委員会が公表している(令和5年9月21日)ニュースコンテンツ配信分野に関する実態調査報告書について参議院調査室へ調査依頼いたしました。
※以下ブログより質疑内容を抜粋
令和3年2月に公取委は「デジタル広告分野の取引実態に関する最終報告書」を公表し、ニュースプラットフォームにおけるニュースコンテンツ利用の許諾料や検索サイトにおける表示順位に関しニュースメディア事業者から指摘のあった課題について取引条件の明確化や当事者間での適切な交渉の実施等が競争政策上望ましい旨を明示した。しかしながら、改善が進まないことからより実効性がある提言を行うために令和5年9月に再び実態調査を行った。公正取引委員会の調査の結果、ヤフーは取引先であるニュースメディア事業者との関係で優越的地位にある可能性があること、ヤフーはニュースメディアサイトに一定の送客を行うインターネット検索を運営するインターネット検索事業者はニュースメディア事業者に対して優越的地位にある可能性があること、グーグル及びヤフーはニュースコンテンツを探す際に利用するサービスの市場において有力な事業者に該当する可能性があるということを指摘している。併せて、公正取引委員会は独占禁止法との関りについて、一方的に著しく低い許諾料を設定し、又は、無償で取引することにより不利益を与える場合は独占禁止法上問題(優越的地位の濫用)となること、有力なインターネット検索事業者が自社のニュースコンテンツの表示を優先し他社のコンテンツの閲覧が不利となる配置を意図的に行った場合は独占禁止法上問題(競争者に対する取引妨害等)となるという見解を示した。以上を踏まえて次の通り政府の見解を問う。
・2-1. ヤフーニュースやLINEニュースなどのニュースポータルサイトによってニュースの配信の寡占化が進む中、弱い立場に置かれがちなニュース提供者であるメディア各社を保護しつつ健全な民主主義の発展を維持するためにも早期に需給双方のネゴシエーションを整理しルール作りに取り掛かるべきであると思料するが政府の見解は如何に。→総務大臣
・2-2.スペインやオーストラリア、カナダなどではグーグルなどニュースポータルサイトの運営者に対してニュース提供メディアに対する「誠実な交渉」「報酬額評価の透明性に必要な情報の通知」などを義務付ける法整備を進めてきた。ドイツではドイツ特許商標庁から集中管理団体としての許可を受けた団体が報道関連の映像及び出版を対象に複製権、公衆送信権、プレス隣接権の集中管理を行っており、デジタルプラットフォームとの交渉、仲裁申立て等を行っている。日本においても同様の記事版ジャスラックのような公共性、公益性のある団体がニュース記事の著作権を集中管理できる仕組みを導入すべきだと思料するが政府の見解は如何に。→参考人
※質疑の様子は下記よりご覧ください。
▼参議院調査室への調査依頼内容と回答
https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2023/sep/230921newcontent.html
公正取引委員会が公表している(令和5年9月21日)ニュースコンテンツ配信分野に関する実態調査報告書について
①過去の国会で取り上げられたことがあるかどうか詳細が知りたいです。
【回答】
見当たりませんでした。
②この報告書と類似の実態調査報告書があれば、省庁問わず詳細が知りたいです。
【回答】
(経済産業調査室)類似の実態調査報告書として、以下が見つかりました。
・公正取引委員会「デジタル・プラットフォーム事業者の取引慣行等に関する実態調査(デジタル広告分野)について(最終報告)」(令和3年2月17日)
https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2021/feb/210217.html
→公正取引委員会は、デジタル広告の掲載メディア(媒体社)、広告出稿者(広告主・広告代理店)及び広告仲介事業者等がデジタル・プラットフォーム事業者と行う取引について調査を実施しています。報告書本体「第 4 デジタル広告取引の伸長に伴 う媒体社間競争の変化 とその変化に伴 う消費者への影響」(120頁~143頁)では、媒体社におけるデジタルでのニュースコンテンツの配信及びそれに付随するデジタル広告取引の実態についてまとめられています。
(参考)上記の調査の中間報告(令和2年4月28日)
https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2020/apr/200428_1.html
・日本新聞協会「デジタルプラットフォーマーとの広告取引に関する見解」(経済産業省デジタルプラットフォームの透明性・公正性に関するモニタリング会合(令和5年11月9日)資料4)
https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/digital_platform_monitoring/pdf/2023_011_04.pdf
https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/digital_platform_monitoring/2023_011.html
→実態調査ではありませんが、デジタルプラットフォームの透明性・公正性に関するモニタリング会合において、新聞協会から、取引をする中で感じているDPF特有の問題点についての見解が公表されています。
(総務調査室)総務省等の資料で類似する調査報告書について調査しましたが、特段見当たりませんでした。
一方、ニュース配信に関連する調査報告書等がいくつかございましたので、参考までに送付いたします。
・「情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」(総務省)
総務省|情報通信政策研究所|情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査
ニュースサイトなども含めたメディアの利用状況について毎年度報告書がまとめられています。
・「メディアに関する全国世論調査」(公益財団法人 新聞通信調査会)
インターネットニュースなども含めたメディア調査の結果がまとめられています。
・「報道機関とデジタルプラットフォーム ~ニュース対価論争を巡る最新動向~」(一般財団法人マルチメディア振興センター(FMMC))
https://www.fmmc.or.jp/Portals/0/resources/ann/pdf/news/report_wo_240326.pdf
ニュース配信に係る取引について、諸外国における法制度がまとめられています。
③②について、国会で取り上げた等の実績があればこれも詳細が知りたいです。
【回答】
ネット広告分野の規制についての質疑がありました。
・第204回国会 参議院 経済産業委員会 第1号 令和3年3月22日
https://kokkai.ndl.go.jp/#/detail?minId=120414080X00120210322&spkNum=103&104&105
・第201回国会 参議院 経済産業委員会 第7号 令和2年5月19日
https://kokkai.ndl.go.jp/#/detail?minId=120114080X00720200519¤t=1
本件、私も引き続き注視していこうと思います。