村上ゆかりの日記 (浜田聡参議院議員秘書)

浜田聡参議院議員公設秘書。事務所のお仕事で調査した資料などをご紹介。

【調査資料】学校で使われる動画教材等について(NHKの教育番組は学校等でどの程度使われている?)

学校で使われる動画教材等について(NHKの教育番組は学校等でどの程度使われている?)先日、浜田聡事務所内で議論があり、参議院調査室へ調査依頼しましたので本ブログで共有します。

 

【依頼内容】

学校の授業における教育番組などのコンテンツ利用について

▼授業で使用が認められるコンテンツと、関係法令
 ∟テレビ番組以外の動画コンテンツも想定しています。授業で使用しても良いコンテンツの要件と、その要件の根拠
 ∟コンテンツ利用は教員の判断か等

 

【回答】

・まず、学校教育法第34条第4項では、「教科用図書及び第二項に規定する教材〔注:いわゆるデジタル教科書のこと〕以外の教材で、有益適切なものは、これを使用することができる。」(下線は引用者。以下同じ。)と定められています。

・これは、いわゆる「補助教材」のことであり、補助教材については、「(中略)映画、ビデオ、レコード、コンパクトディスク(CD)、録音テープなど、教育内容を具体的に具現しているものをいう」とされています(【別添1(学校教育法の逐条解説)】p350)。したがって、お尋ねの「コンテンツ」についても、「補助教材」の一つとして考えることが可能です。

・【別添1(学校教育法の逐条解説)】p351】によれば、「補助教材の内容について「有益適切なもの」と判断する者及び「使用すること」を決定する者については、学校教育法は必ずしも明らかでない」一方、公立学校については、地方教育行政の組織及び運営に関する法律(地教行法)において、助教材に関して、教育委員会の届出制又は承認制を設けることができるとされています。

・その上で、【別添1(学校教育法の逐条解説)】p351】では、「その使用について届出制又は承認制がとられている補助教材は、学校としてその手続をするわけであるから、学校においてその使用、不使用を最終的に決定するのは校長である。また、届出又は承認を必要としないものについても最終的には校長の責任において選定することになる。」としています(【別添2(地方教育行政の組織及び運営に関する法律の逐条解説)】も必要に応じ参照ください)。

 

・また、平成27年文部科学省から発出された「学校における補助教材の適正な取扱いについて(通知)」においても、「1.補助教材の使用について」において、「(2)各学校においては,指導の効果を高めるため,地域や学校及び児童生徒の実態等に応じ,校長の責任の下,教育的見地からみて有益適切な補助教材を有効に活用することが重要であること。」とされています。

https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/kyozai/mext_02559.html

 

⇒以上をまとめますと、コンテンツの利用の要件については、当該コンテンツが「有益適切なもの」であれば利用できるということになります(根拠は学校教育法第34条第4項)。

その上で、公立学校においては、仮に各教員が当該コンテンツの使用を希望するとしても、学校における使用を最終的に決定するのは校長になると考えられます。

 

▼(可能な範囲で)学校の授業で使用される、教育目的で作成された動画や番組にはどのようなものがあるか
 ∟制作元や内容等

【回答】

お尋ねの件について、網羅的に記された資料は見当たりませんでした。その上で、調べられた範囲では、例えば以下のものがありました。

 

○教科書会社が作成する動画

教科書会社が、デジタル教材の動画を作成している場合がございます。

・光文書院ウェブサイト https://www.kobun.co.jp/digi/movie/

実教出版ウェブサイト https://www.jikkyo.co.jp/soft_dvd/

・東京書籍ウェブサイト https://www.tokyo-shoseki.co.jp/juku/dougapocket/

 

NHK for School https://www.nhk.or.jp/school/

 同ウェブサイトでは、NHKが制作する学校教育向けの「ばんぐみ」を2000本以上、さらに学習のエッセンスを簡潔にまとめた「クリップ」を7000本以上配信しているとのことです(https://www.nhk.or.jp/school/help/)。

 

○学習eポータル上で表示される動画等

学習eポータル(日本の初等中等教育(学校教育)に適した共通で必要な学習管理機能を備えたソフトウェアシステム)には、多様な学習リソース(デジタル教科書・教材、各種ツールなど)の互換性のあるデータを学習eポータルで一覧的に可視化して活用することができる機能があります。

よくある質問: 文部科学省CBTシステム 運用支援サイト

学習eポータルには、L-Gate(株式会社内田洋行)、まなびポケット(エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社)など9つがあります。

よくある質問: 文部科学省CBTシステム 運用支援サイト

例えば、その一つである「まなびポケット」で「動画教材」を検索すると、以下の検索結果がでてきます。

検索結果: | まなびポケット

ここに出てくる「動画教材」の中には、お尋ねの「学校の授業で使用される、教育目的で作成された動画や番組」も含まれていると考えられます。

 

文部科学省の「教育映像等審査制度」で認定された作品

文部科学省では、映画その他の映像作品等について、教育上価値が高く、学校教育又は社会教育に広く利用されることが適当と認められるものを選定し、あわせて教育に利用される映像作品等の質的向上に寄与することを目的として、教育映像等審査規程に基づいて映像作品等の審査を行っています。当該制度で認定された作品の中には、お尋ねの「学校の授業で使用される、教育目的で作成された動画や番組」も含まれていると考えられます。

教育映像等審査制度:文部科学省

 

▼NHK教育番組の使用状況を調査した資料があればその詳細

【回答】

NHK放送文化研究所では、1950年度から2012年度まで、

全国の学校を対象に「学校放送利用状況調査」を実施してきました。

 

2013年度からは、学校で利用されるメディアの多様化等を踏まえ、調査対象を「学

校」から「教師個人」に変更し、

「教師のメディア利用と意識に関する調査」(年度によって調査する学校種が異な

ります。)を新たに開始しております。

 

NHK学校放送番組の利用状況の長期的な推移については、【資料1】を御覧くださ

い。

また、最近の調査結果については、【資料2】、【資料3】を御覧ください。

 

【資料1】「調査60年にみるNHK学校教育向けサービス利用の変容と今後の展望」

(『NHK放送文化研究所年報2014』)

www.nhk.or.jp

※学校放送利用率(注)の推移について、小学校は101頁、中学校・高校は106頁、

幼稚園・保育所は107頁に掲載されています。

 また、102頁に学校放送利用率のピーク(幼稚園~高校)が掲載されています。

 

(注)放送中のNHK学校放送全番組のリストを提示して、それぞれの利用の有無を

質問し、

 1番組でも利用しているクラスがある学校を「NHK学校放送利用校」と定義し、

全学校に対する比率を算出したもの。

 

 

【資料2】2021年度「小学校教師のメディア利用と意識に関する調査」(『放送研

究と調査』2022年6月号)

GIGAスクール構想の進展による学校と家庭の学習におけるメディア利用の変化|NHK放送文化研究所

NHK学校放送番組を始め、授業におけるメディア教材の利用状況は、66頁、68頁

に掲載されています。

【資料3】2022年度「中学校教師のメディア利用と意識に関する調査」(『放送研

究と調査』2023年6月号)

「1人1台端末時代」の学校と家庭の学習におけるメディア利用とその課題-NHK

NHK学校放送番組を始め、授業におけるメディア教材の利用状況は、43頁に掲載

されています。