日本には政策評価法という法律があります。
PDCAを回す、という言葉自体は比較的ご存じの方も多いと思いますが
物事は、計画→実施→評価(振り返り)→評価の反映(改善・修正)を回し続ける事が重要と言われています。
≪一部抜粋≫
*PDCAをうまく回すためのポイント*
➀PDCAが有効になるのは、以下の2点のようなケースが考えられます。
沢山の解決策の中から、コストが抑えられる方法でテストしたいとき。
効果の低い方法を広範囲に展開し、リソースの無駄を避けたいとき。
➁PDCAは一本道ではなく、計画、実行、評価、改善が連続するサイクルです。
➂PDCAサイクルは全ての分野で応用できます。
政策評価法は、このPDCAの「C」=振り返りをするために定められた法律です。
この「振り返り」はとても重要です。
≪一部抜粋≫
「同じことをくり返しているだけでは人間は成長しませんし、どんな仕事にも改善点はあるものです。」
振り返りは「内省」といわれることもある言葉です。
内省とは、過去の自分を振り返りながら自身の内面を省みて、考えを整理することをいいます。そして、過去を後悔する、あるいは過去から学ぶという意味も併せ持ちます。
指示や決断の間違った点を客観的に見つめ、次に同じような状況になった時にどうすべきなのか、失敗をリカバーするために今できることは何かを考えることができます。
(PDCAの注意点)
「同じサイクルを回し続けても意味がないので、常に改善点を見つけられるように実践することです。」
企画職に携わったことのある身としては、このPDCAは基本中の基本という認識です。この基本中の基本が、最も重要な事なのです。
この振り返りを政策でもしっかりやっていこうというのが「政策評価法」です。
AV新法に話を戻します。
AV新法は議員立法の為、なんとこの政策評価法で定められた「事前評価」を行っていないことがわかりました。
「規制の事前評価」とは
規制の事前評価は、規制の導入や修正に際し、規制の目的、内容、必要性を明らかにし、規制に係る費用と効果(便益)の分析、代替案との比較等を行い、評価を実施するものです。行政機関が行う政策の評価に関する法律施行令(平成13年政令第323号)の一部改正により、平成19年10月1日からの実施が義務付けられています。
つまり、この法案が成立したら本当に目的通りの効果があるのか、国民にどのような影響があるのか(想定外の不利益などはないか?)、経済的な影響などを試算してチェックするためのものです。
私の感覚としては、たとえ法律で定められていなくとも、この基本の評価は当然に(自主的に、任意で)なされるべきではないかと思っていました。
事前評価がされていないという事は、評価指標も決まっていないのではないか、評価時期は決まっているのか?等が気になり、担当の内閣府男女共同参画局男女間暴力対策課へ質問してみました。
≪質問内容≫
・AV新法の事後評価はいつ行いますか?その際の評価指標はいつ決まりますか?
・上記について、どのように決定されるのかの決定プロセスとその根拠を知りたいです。
そして昨夜、担当課より回答が得られました。
≪回答≫
「性をめぐる個人の尊厳が重んぜられる社会の形成に資するために性行為映像制作物への出演に係る被害の防止を図り及び出演者の救済に資するための出演契約等に関する特則等に関する法律」(=AV新法)による
AV出演被害防止・救済に係る施策の評価の在り方については、時期・方法も含めて、今後、検討していくこととなります。
つまり今の時点では何も決まっていないという事でした。
評価する指標すらないのであれば、振り返りは当然にできません。AV新法について、何を見たらこの法律は良かったのか、改善が必要なのか、指標がないのでわかりません。
このことを問題だと思うのは、私だけではないのではないでしょうか。
なお、AV新法については、下記ブログにも記載しました。合憲性の判断基準を衆議院法制局に質問しています。
今後も何か私の立場でできることがあれば、行っていきたいと思います。
AV新法についてご意見ご提案がある方はお気軽に末永までお願いいたします。