村上ゆかりの日記 (浜田聡参議院議員秘書)

浜田聡参議院議員公設秘書。事務所のお仕事で調査した資料などをご紹介。

【調査資料】こども家庭庁の子育て支援金制度は制度そのものがおかしいのでは?

こども家庭庁の「子育て支援金」について、一般社団法人制度・規制改革学会が緊急声明を出されました。

▼緊急声明

240405緊急声明「子育て支援金」制度の撤回を求める_制度・規制改革学会.pdf - Google ドライブ

指摘内容を拝見し、浜田聡事務所より下記質問をこども家庭庁へ送りました。

【質問内容】

①一般社団法人制度・規制改革学会の緊急声明に対する見解を教えてください。
※以下の点について一点ずつ見解を教えてください。

1)健康保険から取ることは根本的に間違い
・そもそも健康保険は、疾病のリスクに備える社会保険である。少子化対策への流用は、その本来の目的から外れる。
・何ら合理的理由がないにもかかわらず、こうした提案がなされるのは、「取りやすいところから取る」ということにほかならない。
少子化対策医療保険にとっての受益であるというのはもはや屁理屈である。
これを認めれば、観光振興も環境対策も健康にプラスの効果を与え、医療保険の受益となるなどもはや何でもありとなる。
将来の各種施策の財源確保にも禍根を残す大失策になりかねない。
2)負担は生じる
・政府は「実質的な追加負担は生じない」と主張するが、この政策で保険料負担が増える以上、詭弁である。
・上乗せ分は世代一律ではなく、現役世代に偏って負担が増す。高齢世代の負担がわずかであることは不公平であり、
かつ、子どもを産み育てる世代の支援という少子化対策と逆行する。
3)その他
・保険者があたかも徴収のみを担うかのような政府の説明は偽りである。実際には保険者が納付義務者になる。
医療保険財政にとって、後期高齢者支援金、前期高齢者納付金、介護納付金負担が既に極めて重くなっている。
子ども子育て支援金は、医療保険財政を一段と圧迫する。
・企業の健保組合など保険運営者は、納付「集金」は求められるが、その資金の規模と使い方は子ども家庭庁が決める。
上乗せ分については保険者機能が発揮できず、ガバナンスを効かせられない。

②子ども子育て支援金は実質負担ゼロである、と様々な場面で主張されているとの認識ですが、
支援金の負担額に相当する減額をどこでどのようにするのかの試算はありますか。試算があればその算出式を教えてください。
またその減額対象者は、子育て支援金の負担者と完全一致しますか。乖離する可能性があるのであればその詳細を教えてください。

 

こども家庭庁からは、下記回答を頂きました。

正直なところ、より疑問が深まったので追加質問しました。既に回答も来ているので回答と併せてご紹介します。

 

①支援金を充てる児童手当等の給付は健康保険法の目的の範囲内であるとの事ですが、こう整理した根拠詳細を具体的に教えてください。(健康保険法の目的の範囲に入るものの定義について、どのように解釈されているか詳細が知りたいです。)

≪回答≫

3月 26 日の衆議院地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別委員会において、加藤大臣が「支援金制度は、社会連帯の理念を基盤に、子供や子育て世帯を、少子化対策で受益がある全世代、全経済主体で支える仕組み、これは繰り返し申し上げてございます。そして、現行の医療保険制度におきましても、病気やけがに限らず、出産や死亡に関する給付など幅広い給付のほか、保険給付ではない疾病予防等の広範な事業、これが行われておりまして、またさらに、後期高齢者支援金など世代を超えた支え合いの仕組みが組み込まれているなど、給付と負担の関係は様々であると承知をしております。さらに、少子化、人口減少に歯止めをかけることは、将来の健康保険制度の担い手の育成を支援し、その持続可能性の確保に資するものであることから、支援金は健康保険法の目的の範囲内であり、」と答弁しているとおり、児童手当等の給付に充てる支援金は、健康保険法の目的の範囲内と整理しております。 

 

②「実質的な追加負担が生じない」について、実質的な追加負担が生じず、支援金の給付が健康保険法の目的の範囲であれば支援金制度そのものが不要ではないでしょうか。何故わざわざ「支援金」というものを事務コストをかけて納付することにしたのか、理由を教えてください。(仮に、現行法において、社会保険料として徴収しているものを児童手当に充てられないのであれば、支援金制度を設けるのではなく現行の社会保険料として徴収したお金を児童手当などに充てられるように法改正をすれば良いのではないでしょうか。) 

≪回答≫

負担と給付の関係を明確化する観点から、医療保険料に係る料率とは別に子ども・子育て支援金率を設け、こどもや子育て世帯を支えるために拠出をいただき、子ども・子育て支援納付金の収入を子育て世帯への給付に充てるということにしています。介護保険の第2号被保険者(40 歳以上 65 歳未満の医療保険加入者)の介護保険料に係る料率についても、支援金制度と同様、健康保険法に規定がありますが、医療保険に係る料率とは区分して規定されています。
 なお、支援金については、既存の医療保険制度を通じ、医療保険料と合わせて賦課徴収するものであることから、事務負担やコストは効率化されると考えています。

 

③今回の支援金分の社会保険負担の軽減が叶ったとしても、元々高いと指摘されている社会保険負担が変わらないという結果となると思いますがこども家庭庁としては、支援金を含めた保険者の保険料の負担はどの程度に抑えるべきか(増えなければ良いのか、減らすべきか)見解を伺います。

≪回答≫

こども家庭庁としては、支援金を含めた保険料負担の水準の在り方についてお答えする立場にはありませんが、歳出改革による保険料負担の軽減効果の範囲内で支援金制度を構築することにより、支援金の導入によって社会保障負担率は上がらないこととしています。

 

回答を拝見して、、、

①は回答になっていないと思いました。今後どういう視点で調査するか、再考します。

②は下線部分の根拠が気になります。試算または推計しているのでしょうか。

③も回答になっていないと思います。こども家庭庁は今の国民負担が上がりさえしなければそれでよいと思っているように読めます。国民に「子育て支援金」という負担を課すのですから、負担を課すだけの利点が国民側にないとおかしいのではないでしょうか。国民から徴収するお金を何だと思っているのでしょう。

 

今後も調査を続けていきたいと思います。