村上ゆかりの日記 (浜田聡参議院議員秘書)

浜田聡参議院議員公設秘書。事務所のお仕事で調査した資料などをご紹介。

【第203回臨時国会】質問主意書 障がい者雇用の民間企業採用における課題と支援策について

今月12/5に閉会しました臨時国会で提出した質問主意書をご紹介します。

質問主意書とは(参議院)

特徴

質問主意書の最大の特徴は、本会議や委員会において議題の範囲内で口頭で行う質疑とは異なり、国政一般について問うことができることです。また、内閣の見解を確実に引き出せること、法律案と異なり議員1人でも提出できることも特徴となっています。
(中略)また、議員一人でも提出することができるので、所属会派の議員数等による制約もありません。
さらに、答弁書は、複数の行政機関にまたがる事項であっても、必ず関係機関で調整され、閣議決定を経て、内閣総理大臣名で提出されます。このため、内閣の統一見解としての重みがあります。

 

今回ご紹介する、私が作成した質問主意書については、浜田聡参議院議員が、既にご紹介して下さっています。

www.kurashikiooya.com

とても丁寧にご紹介して下さり、感謝しています。

 

今回の質問主意書は、障がい者雇用と長年向き合っていらっしゃる方からのご相談を、NHKから国民を守る党の宇都宮市議会議員、遠藤信一議員を介してご相談があり、作成いたしました。

質問主意書作成にあたり、様々に調べたことなどについてご紹介いたします。

 

厚生労働省HPに障がい者雇用対策についてまとめられたページがあります。

www.mhlw.go.jp

障がい者雇用促進法概要

https://www.mhlw.go.jp/content/000363388.pdf

障がい者雇用のご案内(事業主向け)

https://jsite.mhlw.go.jp/miyazaki-roudoukyoku/content/contents/000709727.pdf

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〈一部抜粋〉

障害者雇用のための支援機関/ハローワーク、地域障害者職業センター、障害者就業・生活支援センター

障害者雇用率制度/全ての事業主は、従業員の一定割合(=法定雇用率)以上の障害者を雇用することが義務づけられており、これを「障害者雇用率制度」といいます。現在の民間企業の法定雇用率は2.2%ですが、令和3年4月より前に、2.3%に引き上が
ることになっています。具体的な時期については、今後、厚生労働省労働政策審議会
で議論されます。

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障害者雇用納付金制度/障害者の雇用に関する事業主の社会連帯責任を果たしていただくため、法定雇用率を満たしていない事業主※から納付金を徴収する一方、障害者を多く雇用している事業主に対して、調整金、報奨金や、各種の助成金を支給しています。これを「障害者雇用納付金制度」といいます。

 

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事業主向けの支援策を一通り調べて思った事として、障がい者にとって公平に職場が提供できるよう、様々に仕組み化されていると思う一方、

「実際に障がい者にとって働きやすい職場を提供できているのか」

「地域によっては通勤可能な範囲に求人を出している企業がないケースも散見されるのでは無いか」の2点が気になりました。

 

◇「実際に障がい者にとって働きやすい職場を提供できているのか」

「障がい」と一言で言っても、例えば身体の障がいなら内臓なのか四肢なのか、知的・精神障がいならどういう要因で障がいを持ち、何に気をつけなければならないのか等、その人一人ひとりに寄り添って考えて行く必要があります。仮に就職が叶ったとしても、長く勤められなければご本人やご家族に大きな負担を課してしまいます。そのためには職場で同じように働く方一人ひとりの、「障がい」に対する基礎知識やそれに対する理解が大きく影響するのでは無いかと思います。

私は以前、軽度の知的障がい者向けのケアセンターへ1年ほどボランティアに行っていたことがあります。私が通ったケアセンターにいらっしゃる方は日常生活を支障なく行える方が中心でしたが、リアルな生活の実態を知ることができました。見聞きするだけでなく、日常を知らないとわからないことがあると思います。

しかしながら、障がいに対する理解を職員一人ひとりに求めるという事は、事業主にとってかなりハードルが高いことではないかと思います。日常的に接する機会がない人に、障がいに対する理解をと会社から言われても、なかなか難しい面もあるのではないでしょうか。障がいをお持ちの方にとって「働きやすい職場」を叶えるためには、事業主だけではなく、そもそも、国民一人ひとりに、日常的に「障がい」について知る機会が何かしら必要なのでは無いかと感じています。

 

◇「地域によっては通勤可能な範囲に求人を出している企業がないケースがあったり、支援先がない・少なく困ってしまうケースも多いのでは無いか」

一般的に働く先が少ない、無い地域にいた場合は引っ越すなどで働きたい職場の近くに自らが行くケースが多いのではないかと思いますが、障がいをお持ちの方の場合は病院の都合や家族の都合などがあり、自由に住む場所を変えたり、遠方へ通勤することが困難な場合があるのではないかと思います。そのため、国として地域ごとの課題についてどのように把握しているのかを質問主意書として提出しました。

質問本文はこちら

回答はこちら

 

障がい者数の推移

参議院調査室へ依頼し、障がい者数推移を調べて頂きました。

身体障がい者数の推移はこちらの通りです。年齢別に見ると、65歳以上が圧倒的に多いです。

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知的障がい者数の推移はこちらの通りです。

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精神障害者数の推移はこちらの通りです。

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参考資料:内閣府 『令和2年版 障害者白書』

https://www8.cao.go.jp/shougai/whitepaper/r02hakusho/zenbun/pdf/ref2.pdf

 

また、障がい者雇用の実態について、職業紹介状況を調べました。 

「令和元年度 障害者の職業紹介状況」取りまとめ(2020年6月22日)

https://www.mhlw.go.jp/content/11704000/000641906.pdf

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ハローワークにおける障害者の職業紹介状況

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 障がい者全体が増加しているため、就職件数が増えても%で見ると決して楽観視できる数字では無いことがわかります。

 

また、そもそも「障がい者」の定義が各国によって異なっており、日本における「障がい」の定義を見直す必要も検討すべきでは無いかと思います。

非常に課題の多いテーマですので、また機会のあるときに調べてみようと思います。

 

障がい者雇用に関しては、公務部門における障がい者雇用についても質問主意書を作成いたしました。興味のある方はご覧下さい。

公務部門の障害者雇用の実態と今後の対策に関する質問主意書:参議院

 

最後までお読み下さり、ありがとうございました。