末永ゆかりの日記 (浜田聡参議院議員秘書)

浜田聡参議院議員公設秘書。

【調査資料】セキュリティ・クリアランス 主要国の制度について

かなり前ですが、セキュリティ・クリアランスについて国会図書館で調査依頼を出したことがあります。今回はその資料を公表します。

 

▼セキュリティ・クリアランスとは

セキュリティ・クリアランスとは?なぜ日本で必要性が高まっているのか? | トレンドマイクロ

セキュリティ・クリアランスとは、安全保障などに関わる機密情報にアクセスできる資格者を政府が認定する制度です。この制度は人を対象とする場合と施設を対象とする場合があります。この記事では人を対象にするセキュリティ・クリアランスについて、解説します。人を対象にするセキュリティ・クリアランスは、機密情報にアクセスできる人を限定することで、その情報の漏洩を防ぐことが主な目的とされています。

セキュリティ・クリアランスは
1.情報指定:政府が保有する安全保障上重要な情報の指定
2.政府の調査によるセキュリティ・クリアランスの付与:該当の情報にアクセスする必要性がある人の信頼性確認
3.情報漏えい時の厳罰を含む特別の情報管理ルール:万が一セキュリティ・クリアランス保持者から情報が漏洩した際の厳罰を含むルール
の3つの機能がセットになっています。

 

内閣官房では、セキュリティ・クリアランス制度に関する有識者会議も行われています。

経済安全保障分野におけるセキュリティ・クリアランス制度等に関する有識者会議|内閣官房ホームページ

 

セキュリティ・クリアランス制度とは、政府が保有する安全保障上重要な情報として指定された情報(CI(Classified Information))にアクセスする必要がある者(政府職員及び必要に応じ民間事業者の従業者等)に対して、政府による調査を実施し、当該者の信頼性を確認した上でアクセスを認める制度。民間事業者等に政府から当該情報が共有される場合には、事業者(施設等)の保全体制の確認(施設クリアランス)も併せて実施。その際、特別の情報管理ルールを定め、当該情報を漏洩した場合には厳罰を科すことが通例。

 

▼中間論点整理(骨子)

https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/keizai_anzen_hosyo_sc/pdf/chuukan_ronten_kossi.pdf

(1)セキュリティ・クリアランス制度に関する国としての必要性
・安全保障の概念が経済・技術の分野にも大きく拡大し、軍事技術・非軍事技術の
境目も曖昧となっている中、経済安全保障分野においても、セキュリティ・クリ
アランス制度*を含む我が国の情報保全の更なる強化を図る必要。
特定秘密保護法の施行により我が国の情報保全制度の信頼性が高まり、同盟国・
同志国との情報共有が一層円滑になった一方、主要国と異なり、同法では政府が
特定秘密として指定できる情報の範囲が、防衛、外交、特定有害活動、テロの4
分野に限定。経済安全保障に関する情報は必ずしも保全の対象でない。
・特定秘密保護制度等の下で指定された情報にアクセスできる民間事業者等も防衛
産業に集中。経済安全保障上重要な情報に関して、特に、経済関係省庁や防衛産
業を超えた民間における情報保全強化が必要。
・こうした情報保全の強化は、同盟国・同志国との間で必要な国際的な枠組み整備
とあいまって、既に情報保全制度が経済・技術の分野においても定着し活用され
ている国々との協力を推進し、ひいては、国家安全保障戦略が示す我が国の安全
保障に関わる総合的な国力の向上にも資する。

 

国会図書館調査報告書(令和4年5月24日)

紙資料は著作権の都合で公表できませんので、オンラインで確認できるもののみご紹介します。

 

資料一覧】

  1. 福田健志 「米国のセキュリティ・クリアランス制度と日本における議論一研究者へ の適用をめぐって―」総合調査報告書 変化する国際環境と総合安全保障』2021. 3, pp.109-127
  2. 小林良樹『なぜ、 インテリジェンスは必要なのか』 慶應義塾大学出版, 2021. pp.234 -236, 240-241

  3.土屋大洋 『サイバーセキュリティと国際政治』千倉書房, 2015, pp.185-190

  1. “United Kingdom Security Vetting: clearance. levels." Last updated 31 January 2022. 

Gov.UK website

United Kingdom Security Vetting: clearance levels - GOV.UK

  1. National Audit Office “Investigation into national security vetting." 2018.8.

    https://www.nao.org.uk/wp-content/uploads/2018/09/Investigation-into-national-security-vetting-Summary.pdf

     
  2. Scott, P.F. “The contemporary security vetting landscape.” Intelligence and National Security, 35(1), pp.54-71
  1. 佐藤哲夫「欧州における秘密保全制度と議会による情報監視」 「立法と調査2016. 9, pp.127-138. 

 

【参考資料】 

  1. 特定秘密保護法と諸外国の秘密保全制度の比較 平成26年722現在」 (「「秘密の保護に関する法律施行令(案)」に対する意見募集」 関連資料 3) 内閣官房ウェブサイト

    https://www.cas.go.jp/jp/tokuteihimitsu/ikenkekka/1_4.pdf 

  1. 清水勉 「諸外国の適性評価制度との比較」 海渡雄一ほか編 『秘密保護法 何問題か』 岩波書店, 2014, pp.191-206.

 

国に対する問題意識等から何か調査してほしいテーマがある方は、お気軽に下記よりお問い合わせください。

www.syoha.jp