末永ゆかりの日記 (浜田聡参議院議員秘書)

浜田聡参議院議員公設秘書。

【調査資料】各省庁の公務員の異動って何故あるの?根拠を調べてみた

政党マニフェストの制作に甚大なご協力を賜っている方から下記ご意見を頂きました。

・各省庁の職員は異動があるからその分野の専門性がないため、統計の仮説、検証が適正にできないのではないか

・異動による引き継ぎコストもあり、ある程度分かってきたタイミングで異動が発生してしまう

・異動する理由は腐敗を防ぐ等ではないかと推察するが、正直、異動する意味がよく分からない

 

これを受けて、各省庁の職員の人事制度に異動に関する定めがあるのか、何を根拠として異動が発生しているのかについて浜田聡事務所からの依頼で参議院調査室で調査して頂きました。

 

【依頼内容】

各省庁の異動に係るルール(義務規定のみならず、望ましいとされている場合も)について、有無も含め詳細に知りたい。

 

先日、参議院調査室から下記回答を頂きました。

 

【回答】

人事異動を含む職員の任免については、国家公務員法(昭和22年法律第120号)及び人事院規則8-12(職員の任免)に関連の規定がございます。

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国家公務員法(昭和22年法律第120号)(抄)

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=322AC0000000120

 

(人事管理の原則)

第27条の2 職員の採用後の任用、給与その他の人事管理は、職員の採用年次、合格した採用試験の種類及び第61条の9第2項第二号に規定する課程対象者であるか否か又は同号に規定する課程対象者であつたか否かにとらわれてはならず、この法律に特段の定めがある場合を除くほか、人事評価に基づいて適切に行われなければならない。

(任免の根本基準)

第33条 職員の任用は、この法律の定めるところにより、その者の受験成績、人事評価又はその他の能力の実証に基づいて行わなければならない。

2 前項に規定する根本基準の実施に当たつては、次に掲げる事項が確保されなければならない。

一 職員の公正な任用

二 行政需要の変化に対応するために行う優れた人材の養成及び活用

3・4 (略)

(採用昇任等基本方針)

第54条 内閣総理大臣は、公務の能率的な運営を確保する観点から、あらかじめ、次条第1項に規定する任命権者及び法律で別に定められた任命権者と協議して職員の採用、昇任、降任及び転任に関する制度の適切かつ効果的な運用を確保するための基本的な方針(以下「採用昇任等基本方針」という。)の案を作成し、閣議の決定を求めなければならない。

2 採用昇任等基本方針には、第33条の2に規定する基本的事項のほか、次に掲げる事項を定めるものとする。

一 職員の採用、昇任、降任及び転任に関する制度の適切かつ効果的な運用に関する基本的な指針

二 (略)

三 第58条の昇任及び転任に関する指針

四~九 (略)

3~5 (略)

6 任命権者は、採用昇任等基本方針に沿つて、職員の採用、昇任、降任及び転任を行わなければならない。

(任命権者)

第55条 任命権は、法律に別段の定めのある場合を除いては、内閣、各大臣(内閣総理大臣及び各省大臣をいう。以下同じ。)、会計検査院長及び人事院総裁並びに宮内庁長官及び各外局の長に属するものとする。これらの機関の長の有する任命権は、その部内の機関に属する官職に限られ、内閣の有する任命権は、その直属する機関(内閣府及びデジタル庁を除く。)に属する官職に限られる。ただし、外局の長(国家行政組織法第七条第五項に規定する実施庁以外の庁にあつては、外局の幹部職)に対する任命権は、各大臣に属する。

2 (略)

3 この法律、人事院規則及び人事院指令に規定する要件を備えない者は、これを任命し、雇用し、昇任させ若しくは転任させてはならず、又はいかなる官職にも配置してはならない。

(昇任、降任及び転任)

第58条 職員の昇任及び転任(職員の幹部職への任命に該当するものを除く。)は、任命権者が、職員の人事評価に基づき、任命しようとする官職の属する職制上の段階の標準的な官職に係る標準職務遂行能力及び当該任命しようとする官職についての適性を有すると認められる者の中から行うものとする。

2 任命権者は、職員を降任させる場合(職員の幹部職への任命に該当する場合を除く。)には、当該職員の人事評価に基づき、任命しようとする官職の属する職制上の段階の標準的な官職に係る標準職務遂行能力及び当該任命しようとする官職についての適性を有すると認められる官職に任命するものとする。

3 国際機関又は民間企業に派遣されていたこと等の事情により、人事評価が行われていない職員の昇任、降任及び転任(職員の幹部職への任命に該当するものを除く。)については、前二項の規定にかかわらず、任命権者が、人事評価以外の能力の実証に基づき、任命しようとする官職の属する職制上の段階の標準的な官職に係る標準職務遂行能力及び当該任命しようとする官職についての適性を判断して行うことができる。

身分保障

第75条 職員は、法律又は人事院規則で定める事由による場合でなければ、その意に反して、降任され、休職され、又は免職されることはない。

2 (略)

 

人事院規則8-12(職員の任免)(抄)

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=421RJNJ08012000

 

(任免の基本原則等)

第2条 いかなる場合においても、法第27条に定める平等取扱の原則、法第27条の2に定める人事管理の原則及び法第33条に定める任免の根本基準並びに法第55条第3項及び法第108条の7の規定に違反して職員の任免を行ってはならない。

2 職員の任免は、情実人事を求める圧力又は働きかけその他の不当な影響を受けて行ってはならず、公正に行わなければならない。

第3条 任命権者は、国における政策の立案及び決定に男女が共同して参画する機会が確保されるよう、性別にかかわりなく人材の確保、育成及び活用を行うよう努めなければならない。

(昇任)

第25条 任命権者は、職員を特定幹部職に昇任させる場合を除き、次の各号に掲げる官職の区分に応じ、当該各号に定める要件を満たす職員のうち、人事評価の結果に基づき官職に係る能力及び適性を有すると認められる者(第三号に掲げる官職に昇任させる場合にあっては、国の行政及び所管行政の全般について、高度な知識及び優れた識見を有し、指導力を有すると認められる者に限る。)の中から、人事の計画その他の事情を考慮した上で、最も適任と認められる者を昇任させることができる。

一~三 (略)

(転任)

第26条 任命権者は、職員を特定幹部職に転任させる場合を除き、人事評価の結果に基づき官職に係る能力及び適性を有すると認められる者の中から、人事の計画その他の事情を考慮した上で、最も適任と認められる者を転任させることができる。

2~3 (略)

(配置換)

第27条 任命権者は、職員を特定幹部職に配置換しようとする場合を除き、人事評価の結果に基づき配置換しようとする官職についての適性を有すると認められる者の中から、人事の計画その他の事情を考慮した上で、最も適任と認められる者を配置換することができる。ただし、配置換しようとする日以前における直近の能力評価又は業績評価の全体評語が下位又は「不十分」の段階である職員を配置換しようとする場合には、当該職員の人事評価の結果に基づき官職に係る能力及び適性を有するか否かを確認するものとする。

(昇任、転任又は配置換の特例)

第28条 任命権者は、職員が国際機関又は民間企業に派遣されていたこと等の事情により、第25条第一号イ及びロ、第二号イ及びロ若しくは第三号イ及びロ(これらの規定を第26条第2項において準用する場合を含む。)又は前条ただし書に規定する全体評語の全部又は一部がない場合には、これらの規定にかかわらず、人事院が定めるところにより、当該職員の人事評価の結果又は勤務の状況、派遣されていた国際機関又は民間企業の業務への取組状況等を総合的に勘案して官職に係る能力及び適性の有無を判断するとともに、人事の計画その他の事情を考慮した上で、当該職員を昇任させ、転任させ、又は配置換することができる。

(降任)

第29条 任命権者は、職員を降任させる場合(特定幹部職に降任させる場合を除く。)には、当該職員の人事評価の結果又は勤務の状況に基づき官職に係る能力及び適性を有すると認められる官職に、当該職員についての人事の計画への影響等を考慮して、行うものとする。

2 任命権者は、職員から書面による同意を得て、前項、法第61条の3第3項若しくは第4項又は法第61条の8第1項の規定により読み替えられた法第58条第2項若しくは第3項の規定により、降任させることができる。

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各任命権者は、職員を昇任、降任及び転任させる際には、任命しようとする官職に必要な標準職務遂行能力及び当該官職についての適性を有するかどうかを人事評価に基づいて判断しています。

また、国家公務員法第54条に基づき、職員の採用、昇任等に関する制度の適切かつ効果的な運用を確保するための基本的な方針として、「採用昇任等基本方針」が定められており、各任命権者は、この基本方針に沿って任用を行うこととなっています。

行政機関内等での職制上の段階を同じくする異動である「配置換」についても、人事院規則8-12第27条等に関連の規定がありますが、御指摘の「腐敗防止のため異動しなければならない」等についての規定はございませんでした。

 

国家公務員法(昭和22年法律第120号):

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=322AC0000000120

人事院規則8-12(職員の任免):

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=421RJNJ08012000

・採用承認等基本方針(平成26年6月24日閣議決定):

https://www.cas.go.jp/jp/gaiyou/jimu/jinjikyoku/files/000094910.pdf

 

このほか、国家公務員が2、3年程度の周期で異動を繰り返す実情について、NHKの記事において、「このキャリア特有の制度は法律や規則に基づくものではなく、あくまでも慣行にすぎない」というように、各府省の慣例により短期スパンの異動が行われている旨言及されています。

www.nhk.or.jp

 

あわせて、関連する記事・政府資料等を御参考までに送付いたします。

・第5回人事行政諮問会議(令6.1.23)配布資料:公務員人事管理制度等に関する

資料

https://www.jinji.go.jp/civilservicehrmadvisoryboard/20240123shiryo.pdf

 

東洋経済オンライン「ドイツの公務員は「人事異動」がほとんどない 日本社会

は公務員の異動で「損」をしている」(平29.4.5)

toyokeizai.net

 

▼参考 内閣人事局 省庁間人事交流の推進について

https://www.cas.go.jp/jp/gaiyou/jimu/jinjikyoku/files/000102283.pdf

現在、国会図書館で主要国の人事制度(のうち、人事異動に関連する制度)について調査依頼を出しています。来週には回答が来る予定の為、可能な範囲で公開いたします。